早川雪洲 (今週のスター)

(1889~1973)

 スターという言葉の無い時代に現れる

 セッシュー・ハヤカワはハリウッドで最初に成功?した日本人である。ハリウッド最初の本格的なスターは、ルドルフ・バレンチノ(ラテン系の俳優)だと言われているが、ハヤカワはバレンチノよりも一足先に「チート」(15)に出演して、有名人になっていた。とはいっても、有名には良い意味と悪い意味の二種類があるが( famous か notorious のいずれか)、ハヤカワの場合は悪い評判だったようだ。「チート」でハヤカワが演じた役は、冷酷でサディスティックな悪役であった。その悪役ぶりがセンセーショナルを巻き起こし、有名になれたのである。
 日本では、ハヤカワは「ハリウッド初のスター」だと言われている。しかし、アメリカでいうそれは、ルドルフ・バレンチノである。残念ながら、ハヤカワは帰国したときも余り歓迎されなかったという。

 海外では、よく中国人の役で、色々な映画に出演していたが、日本人らしい日本人役で出た映画は「戦場にかける橋」(57)である。洋画に出てくる日本語はどれも訛っていて嘘っぽいけれど、この映画のハヤカワのセリフは、本物の日本語で、ホッと安心した。ハヤカワはアカデミー助演男優賞の候補にも選ばれた。

 ちなみに、ハリウッドではセッシューという名の道具があるらしい。確かこれはお立ち台みたいな奴だったと思う。ハヤカワは背が低かったので、お立ち台に乗らなければフレームに収まらなかった。それで、お立ち台のことを、アメリカ人はセッシューというようになったのだと、どこかで聞いたような記憶がある。知ってる?

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