デニス・クエイド (今週のスター)

カルトSF俳優から理想のパパ像へ
 デニス・クエイドは僕が最も応援している俳優の一人だ。「応援している」というのが味噌。なんといっても田舎臭い野暮な笑顔が素敵な人だが、いっぱい映画に出ているのだけれど、いわゆるアカデミー賞を取るような大作向きの作品がなく、どれもあと一歩という作品ばかり。実力があるのに目立っていない。地道に地道に。そこがまたたまらなく好きだったりする。フィルモグラフィをみてみると、出演作品がかなり多いことに驚く。しかもほとんどが主役だ。いまとなってはカルト的な作品になったものも少なくない。いっそ「SF俳優」と呼びたいくらい二流のSFが多いのも好きだ。「ドラゴンハート」(96)に出たときにはなんと健気な人なんだろうと思ったもんだ。
 若い頃は「ヤング・ゼネレーション」(79)にも出ていた。これは青春映画の大傑作だが、残念ながら主演ではない。20代最後の「ライトスタッフ」(83)も航空映画の大傑作だが、これも群像劇だったので一番目立っていたわけではない。30代になってからはマニアックな映画が増え出す。まず「第5惑星」(85)。外惑星にトカゲ星人とたった二人で共同生活。おそらくまともな主演作はこれが初めてではないか。ちょっと運の悪い出だしだった気もする。以後この手の作品ばかりになっちゃうんだから。お次が「インナースペース」(87)。現代版ミクロの決死圏といった感じの映画。ここでメグ・ライアンと共演し、「D.O.A./死へのカウントダウン」(88)でもまたコンビを組み恋仲に。
 「愛と哀しみの旅路」(90)は在米日系人を描いた映画。この後も地道に活動を続け、西部劇も得意分野に入り、「オールド・ルーキー」(02)ではメジャーリーグの最年長ルーキー役を好演。
 最近はシワが渋くなってますますかっこよくなった。「オーロラの彼方へ」(00)と「デイ・アフター・トゥモロー」(03)の優しすぎるパパ役が好きだ。「あなたの理想のパパ像は?」というアンケートを取った場合、僕ならデニス・クエイドに投票するだろう。「デイ・アフター・トゥモロー」は僕の大好きな映画で、個人的にデニス・クエイドのベスト作品としたい。僕もこんな風に年を取りたいもんだ。本当にデニス・クエイドはもっと評価されてしかるべき俳優である。

オリジナルページを表示する