チャールトン・ヘストン (今週のスター)

シュワちゃんと同じ理由で好きなのだ

 チャールトン・ヘストンはうちの親父が一番好きな俳優だ。でもって、うちの親父が一番嫌いという俳優がアーノルド・シュワルツェネッガーだ。ちなみに僕が一番好きな俳優はアーノルド・シュワルツェネッガー。親父と趣味が180度違うってわけだ。でも僕はチャールトン・ヘストンも大好きだ。60年代の俳優では一番好きだ。
 ここで重要なのは、僕は同じ理由でシュワちゃんとヘストンが好きということ。目つきといい口元といい顔の骨格といい、とってもそっくりだと思わない? だって2人とも凄い映画にいっぱい出ているし、偶然にも現実離れした映画が多い。また2人ともカルト的な作品に出ているし、そこそこ駄作もあり、好奇心で監督を経験したこともある。そして2人ともごっつい体格をしていながら、瞳の奥には優しい表情をのぞかせている。「トゥルーライズ」(94)で2人は共演してるけど、これはもう”引き合わせた”としか思えない。


 悲しい表情が忘れられないのだ

 ヘストンで一番好きなのは悲しい表情。もともとは包容力のある大らかなタイプなので、悲しい顔をしてると本当に可哀相に見えてしまうんだよね。ヘストンは映画でよくこの悲しい表情を見せるんだけど、この表情が僕はたまらなく好きなんです。
 その悲しい表情が見られる映画は、「ソイレント・グリーン」(72)、「大地震」(74)、この2本に尽きる。2本ともつまらん映画だったが、ヘストンの悲しい表情だけは忘れられない。「ソイレント・グリーン」では安楽死の機械につく親友の老人を涙目で見守った。このヘストンの表情のやるせなさ。たまらんかった。「大地震」では不倫に生きながらも、最後は本当の妻の後を追った。余りにも衝撃的なラストだった。僕が今までに見たラストシーンでも、最も残酷に思える。そういえばヘストンの映画はラストが残酷なものが多い。特に彼のSF作品だ。「オメガ・マン」(71)も可哀相だが、中でも「猿の惑星」(68)はぶったまげた。僕もかなりハマった。「猿の惑星」はもう10回は見てると思う。よく考えたらヘストンのSF三部作「猿の惑星」、「オメガ・マン」、「ソイレント・グリーン」は全て文明の滅亡を描いた映画だったんだね。


 とんでもない人物を演じてきたのだ

 ヘストンは往年のスターの中ではたぶん一番ごつい体してたんじゃないかな。珍しくムキムキ系の俳優だ。だからタフな役も多かった。でもってコクのある顔つきしてるから、大昔の人を演じる機会も多かった。幸運にも最初の作品「地上最大のショウ」(52)が絶賛されたので、次々と出演依頼が来るようになった。「十戒」(56)ではあのモーゼを演じた。フィルムノワールの最高傑作のひとつとされる「黒い罠」(58)にも主演した。この他「エル・シド」(61)ではスペインの英雄エル・シド、「華麗なる激情」(65)では偉大なる彫刻家ミケランジェロ、「偉大な生涯の物語」(65)ではキリストに仕えるヨハネ、「カーツーム」(66)では中国内乱を鎮圧した英国将軍ゴードン、「ジュリアス・シーザー」(70)では反乱軍と戦うアントニーに扮した。何と神様を演じたこともある。こりゃもうヘストンは”カリスマ俳優”という称号が許せる唯一人の役者かもしれない。そんなヘストンは僕が一番会ってみたいと思う俳優です。

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