100年前のクラシック映画から映画史を読み解く


ロバート・ワイズ (巨匠の歴史)

全ジャンルを制覇した監督

●「サウンド・オブ・ミュージック」の名場面
 ロバート・ワイズ・・・。誰しも「ウエスト・サイド物語」と「サウンド・オブ・ミュージック」を思い出すだろう。確かにこの2本は映画史に燦然と輝く名作である。とくに「サウンド・オブ・ミュージック」のオープニングの歌うジュリー・アンドリュースの映像は、地形効果を存分に生かした名場面である。ワイズは地形効果にかけては、映画界随一といってもよく、「ウエスト・サイド物語」のオープニングの町の俯瞰映像にしても、何度見ても素晴らしい。私も「サウンド・オブ・ミュージック」の名場面に惚れ込んだ一人で、7年前にビデオでみたときの感動は大きかった。ここから私の映画への興味が数十倍にも膨れ上がったといって過言ではない。

●ミュージカルだけじゃなかった
 「ウエスト・サイド物語」と「サウンド・オブ・ミュージック」は、それぞれがミュージカル映画史上の1位2位を争うほどの傑作である。この2本があるためか、ワイズはミュージカル映画の監督と思われることがある。ところがワイズは違うのである。ワイズはあらゆるジャンルに長けた才能を持っていた。デビュー当初はホラー作家、それから西部劇、戦争映画、ボクシング、サスペンス、SFなど、ジャンルはお構いなしに何でも撮るようになる。それゆえにキャリアも長いが、どのジャンルでも決定的な名作を残していることには頭が下がる。
 特に興味深いのがSF映画である。51年の「地球の静止する日」は、UFO・異星人といったエポックを画した映画である。「アンドロメダ・・・」は、そのSF世界のイメージに強烈に訴えるものがある。彼がテレビの人気シリーズ「スター・トレック」の映画版の監督を任せられることになったのも、当然の成り行きだったのだろう。

●ワイズの映画は娯楽映画だ
 娯楽映画に徹した姿勢も素晴らしい。批評家から絶賛された「砲艦サンパブロ」は、戦争映画だが、登場人物の描き方といい、ところどころにある見せ場といい、まさに娯楽映画の醍醐味が堪能できる内容だ。これを見ると、ワイズの手腕が確かだったということがわかる。
 いつも違う役者を主演に起用するところもワイズのいいところで、ポール・ニューマン、ロバート・ライアンら、数多くのスターたちがワイズの下で成長した。中で、ジュリー・アンドリュースは最もワイズの恩恵を授かったスターだろう。「サウンド・オブ・ミュージック」のアンドリュースはまさしく永遠だ。

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