100年前のクラシック映画から映画史を読み解く


ロバート・アルトマン (巨匠の歴史)

群像劇にかけてはハリウッド一
Robert Altman (1925~2006)   ●アメリカの一匹狼
 ロバート・アルトマンといえば「一匹狼」という印象が強い。ウディ・アレンもそうであるが、ハリウッドの体制に逆らい、決してハリウッドの商業主義に屈することなく、私的な作品を撮り続けている。だからできあがる作品は癖が強く、コアなファンの間でしか受けない監督である。得意はもっぱら群像劇であり、ワンシーンで十数人の登場人物が同時にセリフを喋るという離れ技も難なくこなす。これはアルトマンのスタイルでもある。

●「M*A*S*H」
 アルトマンは57年に映画監督になったが、最初は余り受けなかった。ひとまずテレビ界に飛び込んだアルトマンは、しばらくテレビ映画を手掛ける。68年、久しぶりに劇場用映画の監督を引き受け、そして70年「M*A*S*H」が何とカンヌ映画祭で最高賞を受賞、アカデミー賞にノミネートされた。同作は朝鮮戦争の最前線を舞台にしたシニカルなブラック・コメディで、アルトマンの将来を決定づけた重要な一本だ。かなり非道で強烈な内容だったが、ここからすでに群像劇のスタイルが見えてくる。その後アルトマンは実に精力的に映画作りに取り組んでいる。

●「ナッシュビル」
 75年、彼の最高傑作「ナッシュビル」が誕生する。カントリー&ウエスタンの音楽フェスティバルに集まった24人の豪華キャストたちのドラマを絡めて、しだいにひとつのドラマに紡ぎ合わせる160分の大作。アメリカの寓話をパロディ化して独特の色合いで表現。これまでの群像劇という概念に新しい記号を打ち立てた大傑作だ。

●「ザ・プレイヤー」
 アルトマンの名前を一般の映画ファンにも広めたのが「ザ・プレイヤー」。ハリウッドを痛烈に諷刺したコメディである。オープニングの長回し撮影も話題になり、その構成力が高く評価され、67歳にしてカンヌで監督賞を受賞。この作品を転機にして、アルトマンはますます冴え渡っていく。続く「ショート・カッツ」はレイモンド・カーヴァーの原作を映画化したもので、ロサンゼルスに住む22人の登場人物たちのドラマを並行して描き、ベネチアで金獅子賞に輝いた。
 彼のキャリアはもう40年を超えた。近年は映画祭での活躍が目覚ましく、映画ファンとしては、とにかく新作が楽しみで仕方がない監督である。

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