ジョニー・デップ (今週のスター)

美形なんだけど顔じゃない

 みんな「ディップ」って言うんだよなあ。でも日本語ではいつも「デップ」って書いてあるし、でもそれでもやっぱりファンの人とかみんな「ディップ」って言うんだよなあ。本当はどう発音するんでしょ。

 最初はパッとしない俳優生活を送っていたようだが、「シザーハンズ」(90)に出て突然の人気スターに。素顔はかなりの美形なのだが、素顔を見せることなくスターになったというのは大したものである。どこか哀感を秘めたダークな怪物の役だったが、観客はデップのハンサムな顔に惚れたのではなく、心に惚れたのだと思う。そこが他の美形スターとは違うところである。

 続く「妹の恋人」(93)ではオシャレなスタイルで登場。無口な青年役だが、キートンとチャップリンを足して2で割ったようなユニークな演技も披露してくれた。この雰囲気が、デップの印象にピッタリとマッチしていて、微笑ましかった。

 僕が一番好きな映画は「エド・ウッド」(94)。史上最低と言われた映画監督の伝記映画だ。漫画っぽい顔で出てきたけど、おかしな顔して本気で傑作映画を撮ろうと燃えていた監督の姿が興味深かった。僕はこれを見て、デップは若手実力派のナンバーワンだと確信した。

 デップはとにかくクセの強い映画ばかりに出演した。ティム・バートン(「スリーピー・ホロウ」)、ラッセ・ハルストレム(「ギルバート・グレイプ」)、エミール・クストリッツァ(「アリゾナ・ドリーム」)、ジム・ジャームッシュ(「デッドマン」)、ロマン・ポランスキー(「ナインスゲート」)ら強烈な個性を持つ監督たちのもとで演技指導を受けた。デップはアイドルでありながらも、少しもチャラチャラしてない一風変わったスターなのである。

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