ジョゼフ・コットン (今週のスター)

(1905~1994)

 マイナーだけどメジャー

 ジョゼフ・コットンといえば「第三の男」(49)。若くはなかったが、中年らしい二枚目というところが受けて、マニアックなファンが急増した。実をいうと、ハリウッド映画史においては、ジョゼフ・コットンの地位はあまり高くはなく、エンターテインメント誌のハリウッド俳優ベスト100人にもランクインできなかった。しかし、今も熱狂的なファンは多く、マイナーだけどメジャーという感じか?

 作品を振り返ってみると、実に傑作揃い。超のつく名作にも沢山出ている。まずデビュー作が「市民ケーン」(41)で、翌年が「偉大なるアンバーソン家の人々」(42)と、ウェルズの二大傑作に出演。そして43年にはヒッチコックの「疑惑の影」。さらに44年は「ガス燈」に助演。デビューしてから数年間はトントン拍子で名作に出演しまくり、ビッグスターの道を驀進していたわけだ。ここで見てもらいたいのは「疑惑の影」。狡猾な悪党チャーリーを何を考えているのか予測も付かない表情で演じていた。僕は、これこそヒッチコックの最高傑作だと断言しよう。

 48年にはラブ・ロマンス「ジェニーの肖像」で何とベネチア映画祭男優賞を受賞。同年はセルズニックの社運をかけた大河ドラマ「白昼の決闘」に準主演で出た。

 色々な人と共演した映画人生。あのマリリン・モンローが初めてモンロー・ウォークを披露した出世作「ナイアガラ」(53)の主演も実はコットンだった。個人的にはコットンはカラーよりもモノクロで見るのが好きだが。

 なお、何かとオーソン・ウェルズと縁のあるコットンは「黒い罠」(58)、「フェイク」(75)にも出演している。

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