ジョージ・ハリソン (今週のスター)

 11月29日、ジョージがガンで亡くなりました。

  ジョージはロックグループ、ビートルズのリードギタリストとして活躍しました。作曲家としての才能もジョンやポールとひけをとらず、ロック・ミュージックにドラッグの浮遊感を融合したり、史上初めてインド音楽を導入したりしました。最も人気のあるアルバム「アビー・ロード」はジョージが一番の引き立て役でありました。同アルバムに収録されたジョージの歌う「サムシング」はあのフランク・シナトラに「今世紀最高の歌だ」と評価されました。

  ビートルズ解散後、ジョージは3枚組LP「オール・シングス・マスト・パス」を発表しました。同LPは英米でナンバー1ヒットを飛ばし、シングル「マイ・スイート・ロード」はロングセラーを記録しました。ジョージはビートルズのメンバーの中で、ソロになって最も曲を売った男になったのです。翌年にはバングラデシュ救済コンサートを開催し、権威あるグラミー賞のアルバム・オブ・ザ・イヤーを解散後誰よりも早く受賞しました。またジョージは、ジョンの「イマジン」でギターソロのパートを全て演奏しました。エキセントリックなスライドギターのニュアンスが、アルバムの完成度を高めました。

 ジョージの曲の良さは、静かな叫びにあったと思います。メンバーの中では最も声変わりがひどく、早くも声が嗄れてしまいましたが、脆くかすれたシャウトは、弱々しくも情感があって渋いです。ギターの演奏にもそういう脆さが表れています。ロック音楽の本質を貫いた名曲「イズント・イット・ア・ピティ」「ビウェア・オブ・ダークネス」などはその脆さ・静かな中の喧噪感に感慨深いものがあります。ビートルズの新曲となった「フリー・アズ・ア・バード」ではジョージのボーカルとギターが曲に泣きを与えています。

 映画界でも活躍。映画会社を設立し、「バンデッドQ」ほかをプロデュースしました。

 ジョージはメンバーの中でも最年少で、他の3人に比べると非常に地味でしたが、彼らとは全く異なるアングラ的でミステリアスな才能が魅力でした。ジョージなくしてビートルズは語れません。ジョージのご冥福をお祈りしましょう。

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