ジャン・ルイ・トランティニャン (今週のスター)

「いい男」の意味を教えてくれた俳優
 フランスの俳優で名前を誰かあげるとなると、一般的にはアラン・ドロンといいたいところだろうが、僕の場合、まっさきにジャン・ルイ・トランティニャンの名前を思い出してしまう。トランティニャンはフランスではドロン以上に俳優らしい俳優といわれているということを以前どこかで聞いたことがあるが、分かる気がする。僕にとって、トランティニャンは、フランスでは別格の存在である。何が好きかっていうと、本当の「いい男」って何かを僕に教えてくれたからだ。正直言って最初は何がかっこいいのかわからなかったが、色々なフランス映画で主演しているのを何度も見ているうち、じわじわとその渋さがわかってきて、今では大ファンになった。マニアックだけど「狼は天使の匂い」(72)というギャング映画あたりから僕はトランティニャンが気になり始めたが、有名どころでは「男と女」(66)や「暗殺の森」(70)がオススメかな。政治的な映画にも積極的に取り組み、「Z」(68)ではセルフプロデュースもやっている。
 「かっこいい」という言葉よりも更にランクが高い褒め言葉は「あら、いい男」だが、トランティニャンのその落ち着き具合はまさに「あら、いい男」にピッタリで、僕のフランス人のイメージを決定的なものにした(と同時にフランス人はジャンという名前が一番それらしい名前なのだと思った)。だって少しもキザっちくなかったし、なのにどことなくセクシーだし、そりゃもうブリジット・バルドーでなくなって女の子なら誰だって恋しちゃうって。

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