ジャン・ポール・ベルモンド (今週のスター)

こういう顔でもスターになれた

 どうやらフランスではこういう顔の人が受けるらしい。そういえばジャン・ギャバンもこういう顔だった。
 とはいっても、こういう顔ゆえに、最初のうちはなかなか本格的な役がもらえなかったみたい。で、舞台劇「シーザーとクレオパトラ」に出演したときは、ぶさいくだからブーイングが出たとか。

 しかし、ある映画傾向がベルモンドをトップスターへと変える。そう、ヌーベルバーグ!! ジャン・リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」(59)の主演に抜擢された彼は、ボギーに憧れる不良の役を演じ、若者達から圧倒的に支持される。この作品のせいで、ベルモンド=アナーキーな青年というイメージが焼き付いた感もあり、その後もヌーベルバーグ、とくにゴダール映画に次々と出演した。「気狂いピエロ」(65)で、ダイナマイトを顔に巻き付けるシーンのイメージは、今なお新世代の若者たちを刺激する。ゴダール映画はジャンル不詳っぽいところがあるので、アクションなのかサスペンスなのかミュージカルなのか恋愛なのかごちゃごちゃしてるけど、ベルモンドの演技力はそのわがままを見事にカバーしている。ちゃんとノリに乗ってるところが天才感じます。

 あまりにも出演作が多いので、何を薦めたらいいのか、ちょっと迷うけど、僕としては「リオの男」(63)を代表するフィリップ・ド・ブロカ演出作品を見てもらいたい。ベルモンドのユーモアセンスが光ってます。フランスのコメディ映画ってどこかはじけてて、お茶目で、面白いんだよね。
 そういえば犯罪映画「いぬ」(63)も見逃せない。渋いです。30歳前後の頃が一番いいね。ベルモンドは。
 最近はヴィクトル・ユゴーの原作をもとにした「レ・ミゼラブル」(95)にでていて、またびっくりさせてくれた。

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