シドニー・ポワチエ (今週のスター)

いわずとしれた黒人スターの第一人者

 人種差別は映画の世界にもあった。昔は黒人の映画出演などは珍しすぎる出来事であった。ところが、一人の男が立ち上がった。シドニー・ポワチエである。
 彼は白人の共演者が脇役に見えてしまうほど輝いた演技を見せて、次々と良作に出演、重要な黒人役には必ずといっていいほど抜擢され、「夜の大捜査線」でついに黒人として初のアカデミー賞主演男優賞を受賞し、一躍トップスターとなった。
 全米の黒人たちはポワチエに熱狂し、勇気づけられた。そしてそれ以後、ポワチエの後継者たちが続々と生まれていったのだ。その意味でも、ポワチエは「映画に黒人を主演させた」俳優として、世間からいつまでも尊敬される存在である。

 彼の出演作は確かに面白い。校内暴力を描いた社会派ドラマ「暴力教室」は学園ものの革命といえるし、「手錠のまゝの脱獄」と「招かれざる客」は黒人偏見を正面から描いた娯楽傑作である。
 それと一番お薦めなのが「野のユリ」。英語のわからない修道女たちのために教会を建てる通りすがりの風来坊を優しく演じ、ほのぼのと涙がこぼれる名作である。
 後に監督業に転向するが、俳優業も続けており、最近は「スニーカーズ」などに出演している。何年か前にアカデミー賞の最優秀作品賞のプレゼンターとして出席したことも記憶に新しい。
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*訂正・・・アカデミー主演男優賞を取った映画は「夜の大捜査線」ではなくて「野のユリ」だとご指摘を受けました。その通りっす。間違ってスマンです。

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