シェリル・クロウ (今週のスター)

 映画マニアが好きなロック・ミュージシャンといえば、今の時代はシェリル・クロウでしょう。私の会社でもつい最近話題になったので、ちょっとサイトでも取り上げてみたくなった。

 シェリル・クロウは、ブリティッシュ・クラシック・ロックの流れをくみ、ロック・シーンでも首位に立つ凄腕のシンガー・ソングライター・プロデューサー・ギタープレイヤーであるが、映画マニアの間でも人気は高く、ブラピと共演して映画にでも出ないもんかと期待してみたくもなる(ブラピのクローンが欲しいとかいってたこともあったし)。かくいう私もシェリル・クロウは今活躍中のミュージシャンでは一番好きなのである。「All I Wanna Do」は私もカラオケでよく歌った。「Everyday Is A Winding Road」は90年代最高のロック・ソングだと思った。ちょいとしたロックオペラ「Crash And Born」は車の中でもよく聴いていた。

 映画との接点についてだが、彼女が歌で関わった映画は案外とある。代表どころでは「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」の主題歌があった。ボンド・シリーズの歴史では、主題歌は必ず音楽界のトップスターが歌うのが鉄則であったが、ついにシェリル・クロウに歌わせるとは、ボンドもニクイことしてくれる。とにかくこれがきっかけでかなりシェリル・クロウは音楽とは別のメディアに登場する機会が多くなる。最近では「アイ・アム・サム」、「光の旅人」の歌も歌ってくれた。ちなみに今年の新曲の曲名はナント「Steve McQueen」だった。シェリル・クロウは毎度ビデオクリップも素晴らしい。「If It Makes You Happy」の色遣いのセンスも凄かったが、「Home」のモノクロのスローモーションにも感動させられた。

 もうひとつ驚くのは彼女のファッションである。今のところアルバムは4枚出しているが、各作品で、見た目にもイメージチェンジの度合いがすごすぎる。毎年これほど顔を変えられるものなのか。ハリウッドの進歩したメイクアップ技術をもってしても、これだけの変身は不可能だろう。彼女の場合、各アルバムで、髪の色や服装だけでなく、音楽の質感、つまりメンタルな面から見てもまるで違う。また1枚1枚の内容が濃く、そしてどの作品からも余裕の自信が感じられる。
 彼女はアルバムを出すたびにイメージを変えるのは、当然のことだと話す。ビートルズが数年の間でスタイルをがらりと変えたことと同じだというのである。彼女の曲は、どちらかというと、聞けば聞くほど深味が広がるタイプの曲で、くだけた言い方をすれば、その上にストーンズのようなイカス中毒要素のようなものが含まれる。ロックの音楽は維持しつつも、ジャズやカントリーにも精通していることも忘れてはならない。
 どのアルバムもいいが、あえて薦めるなら二枚目『Sheryl Crow』である。ブルース系統が好きな人ならこの作品のうなるギターサウンドの中毒要素をわかってもらえるだろう。中でも「Ordinary Morning」(ライブではクラプトンと共演)はハードロックの神髄なので必ず聴くこと。
 私だけの考えかもしれないが、彼女のアルバムは作品が出るごとに、マニア向けから大衆向けに近づいているような気もする。もちろんいい意味でだ。彼女はそうやって毎回新しいことに挑戦し、ことごとく世界中の批評家たちを仰天させて、新曲を発表するや必ずグラミー賞のロック部門を独占していったとんでもない天才美女である。毎回新作が発表されるたびに「次はどういうシェリル・クロウを見せてくれるんだろう」という楽しみがある。この生き様は今からでも伝説そのものだ。

オリジナルページを表示する