ジェラール・ドパルデュー (今週のスター)

フランスの国運をかけた名演技
 皮肉にも、日本でドパルデューの名前が浸透したのは「グリーン・カード」(90)というアメリカ映画からだが、フランスではもはや英雄である。
 大作向きの俳優で、出演作には3時間を超える豪華な作品が多く、古風な顔つきのお陰で、歴史ものを得意としているが、一方で軽めのコメディ映画で粋でとぼけた表情を見せ、イタリアやアメリカでも大いに活躍中の大ベテランである。「ドパルデューが出れば名作になる」という公式は、往年のジャン・ギャバンに同じである。国際的にも広く知られており、フランスのみならず毎年のように大作の出演で多忙なため、「ドパルデューには影武者がいる」というジョークまであったほどだ。
 代表作は「シラノ・ド・ベルジュラック」(90)。フランスで最も有名な戯曲を、本国フランスで映画化するとあり、それは国運をかけたものだったろう。大きな鼻の主役には、世界的に有名で、生粋のフランス人の俳優が必要だった。そうなると、もはやドパルデュー以外に考えられまい。ドパルデューは見事な貫禄で、フランス・カンヌ映画祭の主演男優賞を獲得するのである。ドパルデューはフランスの誇りである。

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