ジェニファー・ジョーンズ (今週のスター)

プロデューサーが溺愛したスター
 デビッド・O・セルズニックは、映画史上もっとも偉大なプロデューサーであった。セルズニックが発掘し、生涯をかけて育て上げたスターが、ジェニファー・ジョーンズである。ジェニファーはセルズニックと会うまで、まったくの無名であったが、セルズニックと会ってからはとんとん拍子である。セルズニックの推薦により「聖処女」(43)に出演、デビュー作にして、アカデミー主演女優賞を受賞する。その後もセルズニック・スタジオのナンバー1スターとして、「君去りし後」(44)はじめ、セルズニックの新作に次々と出演し、ハリウッドを拠点に、国際的に活躍する。
 セルズニックが巨額の製作費を投じ、社運をかけて作り上げた西部劇「白昼の決闘」(46)、イタリアの巨匠デ・シーカを招いて完成させた「終着駅」(53)。ロマンチックで幻想的な恋愛映画「ジェニーの肖像」(48)、テーマ曲が素晴らしい「慕情」(55)は、ジェニファーの代表作となる。派手な女優ではないが、なにか秘めたる魅力のある女優である。
 夫ロバート・ウォーカーと45年に離婚してからは、しだいに彼女の心はセルズニックに傾いていき、49年に結婚する(セルズニックの方はというと、実は会った瞬間から一目惚れしてたのだそうです)。ジェニファーの出演作のほとんどはセルズニックの作品であるが、別枠では、ジョン・ヒューストン監督の茶番劇「悪魔をやっつけろ」(53)といった隠れた名作もある。ジェニファーは、プロデューサーだけでなく、監督たちにも恵まれた、ほんとうにラッキーな女優さんだったのだ。ただし、セルズニックと死別してからは、たいして良い作品に出ていない。

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