ジェシカ・ラング (今週のスター)

あえてキングコング女優と言わせたい
 この人もまた山あり谷ありの、波乱な女優人生を歩んでいる人だ。デビューまでにも結構苦労しており、昔は農村地帯で貧乏生活。70年ごろまでヒッピーだったこともある。71年、ニューヨークの<ライオンズ・ヘッド>という今では映画ファンの観光名所になってしまったカフェでバイトをしながら、パントマイムの勉強をして、チャンスを待っていた。そして「キングコング」(76)で衝撃のデビュー! この時彼女は27歳だったが、見事なナイスバディで、グラマラス女優の新生としてスタートした。今のキャリアからしてみれば、ジェシカ・ラングがこんな映画に出ていたこと自体不思議である。僕はこの映画を今までずっと見たことがなかった。1933年の「キング・コング」が大好きだったので、このイメージを大切にしたかったからだ。でも2005年に「キング・コング」がリメイクされて、それがすこぶる面白かったものだから、こりゃジェシカ・ラング版「キングコング」も参考に見なきゃいかんなと思って、先日やっと見たんだけど、これがひどい駄作で・・・。でも僕の父にとってはジェシカ・ラングの「キングコング」が人生最高の映画のひとつだという。何が良かったのかときいたら、コングがぴゅーっと息を吹いてジェシカの濡れた服を乾かすシーンがいいのだという。たしかにこの映画のジェシカは魅力的だった。正直、僕は彼女のツンとした目が男っぽくて好きじゃなかったんだけれど、「キングコング」を見て彼女のことを見直した。なにやら無意味に露出度が高いところがマニアックで、女性のフェロモン発散中なところが気に入った。そんなわけで、むしろ僕はこの頃のジェシカが好きなので、あえてキングコング女優という名誉を授けたいところだ。
 とはいえ、「キングコング」はマスコミからひどく叩かれた。ジェシカは一発屋として、映画界から見捨てられるが、世界的バレエ・ダンサー、ミハイル・バリシニコフと恋に落ち、勇気づけられる。そして79年「オール・ザット・ジャズ」で映画再挑戦し、コングの汚名を返上。それから後は、「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(81)、「トッツィー」(82)、「女優フランシス」(82)、「カントリー」(84)など、どれも高評価を得ている。このころからサム・シェパードとの同棲も始まった。
 91年「ケープ・フィアー」に出演後、92年にはブロードウェイでもデビューし、ステージでも絶賛された。95年「ブルー・スカイ」でオスカーを獲得。
 もうだいぶ小じわが増えてきちゃったけど、近年も「ビッグ・フィッシュ」(03)、「アメリカ、家族のいる風景」(05)、「ブロークン・フラワーズ」(05)など、出演作多し!

オリジナルページを表示する