ジェームズ・スチュアート (今週のスター)

(1908~1997)

 アメリカ人が一番好きな俳優

 個性的なエロキューションが印象に残るジェームズ・スチュアートは、偉大だ。アメリカでは最も人気のある俳優で、知名度もナンバー1。映画雑誌のほとんどは、最も愛すべき俳優として、ジェームズ・スチュアートを選んでいる(ちなみに、女優ではキャサリン・ヘプバーンが一番の人気を得た)。まさに人間国宝。
 なぜここまで人気があるのだろうか。それは、スチュアートが、”誠実なアメリカ人の代名詞”ともいうべき存在だったからだろう。彼はハリウッドで最もアメリカ人らしい俳優だった。
 彼の最高傑作「素晴らしき哉、人生!」は、アメリカでは毎年クリスマスの日に必ず放送され、大衆に愛され続けている。


 絵に描いたような善人役で個性を発揮

 スチュアートは悪役として映画に出演したことがない。彼が演じてきた人物は、皆健康的なアメリカ人であった。それも絵に描いたような馬鹿正直な善人役である。
 彼の代表作は社会派ドラマ「スミス都へ行く」だが、田舎から出てきた世間知らずの人間が、上院議員になり、正義のために逞しく闘い続けるという物語で、スチュアートの誠実健全たる演技が、全米を感動させた。
 スチュアートはその他にも色々なジャンルで、正義を貫いていった。恋愛もの、サスペンス、西部劇、コメディなんでもこなしていた。特に、名監督フランク・キャプラ、アルフレッド・ヒッチコック、アンソニー・マンは、スチュアートを好んで自分の作品に起用した。歴史的偉人を演じる機会も増え、「グレン・ミラー物語」ではジャズ奏者グレン・ミラー、「翼よ!あれが巴里の灯だ」では冒険家リンドバーグに扮した。


 僕はスチュアートの家に泊まっちゃった

 僕は98年の冬、アメリカ西海岸を放浪していた。で、せっかくロスまで来たんだから、大好きなスチュアートの家に訪問して、よろしければ一晩泊めてもらおうと、無謀な考えを思いついてしまった。
 ロスにはスターの住所録みたいな本がおみやげ屋にいっぱい売ってある。色んなスターの住所が地図もついて載ってあるのだが、その本にでかでかと載っていたのがスチュアートの家の写真だ。こうなるとますます見たくなる。僕はその本を頼りに家を探した。
 でも、ロスは車で移動することを前提とした町なので、歩道が少なく、住宅地には店もトイレもなくて、かなり不便だったが、僕は重い荷物を抱えてやっとの思いでスチュアート邸へとやってきた。
 ところが、何とそこは空き地! スチュアートが亡くなったので、取り壊されていたのだ。ショックだった。でも僕はそこで野宿した。世界一の名優がいた土地で自分が寝たなんて、今思えば、ちょっと凄い経験だったかも。

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