ジーン・ハックマン (今週のスター)

 ハックマンは僕の好きなタイプの役者ですな。昔からこの人はただ者じゃないと思っていた。そのわけは、一度テレビの特番で「映画クイズ?」なるものを10年くらい前に見たのだが、その番組でハックマンがゲスト出演していたのである。たしか関根勤さんがハックマンと喋ってた記憶がある。当時中学生の僕がハックマンを知っているはずがなかったが、「大して有名でもないだろうに、日本のテレビにわざわざ出てくれるなんて、いい奴だなー」と、彼の顔がすごく脳裏に焼き付いた。よくよく考えると、「スーパーマン」(78)の悪役の人だということがわかって、妙に嬉しくなったもんだ。

 僕もあれから随分と沢山の映画を見たが、ハックマンのキャラクターは、常に強烈に訴える何かを持っていた。僕が70年代の映画で一番好きなのは「ポセイドン・アドベンチャー」(72)だし、他の作品では「カンバセーション・・・盗聴・・・」(74)、「ミシシッピー・バーニング」(88)、「カナディアン・エクスプレス」(90)などが印象に残っている。
 彼が創ったキャラクターの中でとくに気に入っているのは「フレンチ・コネクション」(71)および「フレンチ・コネクション2」(75)のポパイ刑事。駅のホームでの追跡シーンで、眉間にシワを寄せてマジで悔しがる様子が、すごく好きだった。ハンサムでもないのになぜだかかっこいいんだよなあ。これは、クリント・イーストウッドのダーティハリー(奇しくも公開年が同じ)と共に、観客の心の中にいつまでも刻み込まれる名キャラクターだと思った。キャラが映画から飛び出して、映画よりも有名になってしまういい例だね。

 もろに職人ぽいところも笑える。「ザ・ファーム」(92)、「クイック&デッド」(95)、「バードケージ」(96)でも、きちんと仕事して役にハマっております。ほんとこの親父はよくやるよ。名優です。

オリジナルページを表示する