ジーン・ハーロー (今週のスター)

演技よりもゴシップで語られた女優
 ジーン・ハーローは、型破りな男ハワード・ヒューズが演出した「地獄の天使」(31)に主演したことで、型破りな魅力を持つセクシー女優として話題になり、以後ハリウッドの新しいセックス・シンボルとして、ギャング映画の大古典「民衆の敵」(31)や、クラーク・ゲーブルの「紅塵」(32)などの映画に出演した。
 顔だけ見ると、どうしてそんなに人気があったのか僕にはよくわからなかったが、彼女はどちらかというと体の方で人気があったようだ。豊かなバストとヒップが、当時の男達を虜にした。批評家は演技力ではなく、彼女の肉体を褒めた。
 ジーン・ハーローからセックス・シンボルの意味が変わった。それまでのセックス・シンボルはみんな黒髪だったが、ジーン・ハーローはキラキラと輝くプラチナ・ブロンドだった。ここからセックス・シンボルといわれる女優は金髪が定番になった。
 金髪の美しさでは、太刀打ちできるものがいるとすればマリリン・モンローくらいだろうか。しかしマリリン・モンローはピュアすぎる。ジーン・ハーローには、動物のような突き刺すような、ミステリアスな眼差しがあった。
 ジーン・ハーローは26歳の若さで死亡した。彼女が病に倒れたとき、宗教におぼれ医学を信じていなかった母親が病院に連れて行かなかったからだ。それから27年、アーヴィング・シュルマンが彼女の悲惨な人生を赤裸々に書き綴った伝記「ハーロー」を出版して、全米にジーン・ハーロー旋風が起こる。この時は生きていた頃以上に話題になり、彼女の出演作品が再評価され、まさにジーン・ハーローは伝説の女優となった。翌年、キャロル・ベイカーを主演にした「ハーロー」と、キャロル・リンレイを主演にした「ハーロー」の二作の伝記映画が競い合うように製作された。ジーン・ハーローは何度も結婚に失敗したし、ゴシップばかりが話題になった女優だが、それがかえって彼女の人気を永遠に不滅のものにしている。

オリジナルページを表示する