ケビン・クライン (今週のスター)

 もともと舞台の人だが、映画界でも大活躍。今では大御所の風格も匂わせる名優である。

 クラインの映画界のスタートは「ソフィーの選択」(82)。社会派アラン・J・パクラの最高傑作といえる作品で、日本ではその年最も評判になった映画である。この作品の成功で、たちまち演技派役者として評価され、ローレンス・カスダンの西部劇「シルバラード」(85)、リチャード・アッテンボローの政治映画「遠い夜明け」(87)と、硬派な監督たちの作品に立て続けに出演。クラインの作品は、必ず批評家受けした。

 転機となったのは88年の「ワンダとダイヤと優しい奴ら」。それまではシリアス役者と思われていたが、この映画のキレた演技のおかげで、飛び抜けたギャグ・センスの持ち主であることが証明され、観客を驚かせる。そしてまさかのオスカー受賞(その年は誰がとってもおかしくなかった)。これがきっかけで、ハリウッドで最も冴えてる中年役者となる。

 そのギャグ・センスがかわれて、「殺したいほどアイ・ラブ・ユー」(90)、「ソープディッシュ」(91)、「デーヴ」(93)などに出演。まだ一般向けの大きなアタリがないので、他の中年役者に比べて知名度は低いが、意外と傑作は多い。

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