グロリア・スワンソン (今週のスター)

観光地ハリウッドのシンボル
 伝説的なトップスター。なぜ伝説なのかというと、ビデオ化されている作品が少なく、日本では知名度が低いからだ。信じられないかもしれないが、L.A.ではチャップリンやモンローと同じくらい人気のあるスターなのである。ハリウッドという土地は、観光地化のあおりで日本人客でごった返し、建物という建物は、土産物屋と下着屋とネイルケア店に埋め尽くされ、町らしさが皆目無くなってしまったが、それでもオールドファンをがっかりさせないよう、「映画誕生の地」らしさを、絵はがきや博物館などの「観光商品」という形で残している。そこでよく目にするスターがグロリア・スワンソンの写真と名前である。ハリウッドの大通りを歩いていると、いたるところにグロリアを見つけることができる。グロリアはハリウッド黎明時代、世界一売れていた「大人の」美人スターだった。彼女の生活はほぼ毎日のようにニュースになったとのことだ(証拠がないため、あくまで伝説である)。トーキーの出現と共に、グロリアの名声は失墜するが、ハリウッド発のスター第一号という称号は不滅である。だからこそ、グロリアは観光地ハリウッドのひとつのシンボルとなった。
 面白いのが突然のカムバックを果たした「サンセット大通り」(50)。これは「ハリウッド」そのものずばりを描いた作品である。グロリアが演じるのは、トーキーで失墜し執念でカムバックする女優の役だが、これもまさしくずばりグロリアと立場が同じである。共演者に選ばれたエリッヒ・フォン・シュトロハイムは昔グロリアと衝突して、ひとつのビッグ・プロジェクトをおじゃんにしたクセ者である。これを作ったワイルダーも偉いが、出演を決意したグロリアはもっと偉い。

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