クローデット・コルベール (今週のスター)

ラブコメのお手本となる名場面多数
 クローデット・コルベールはトーキー映画史初期では最も有名なコメディエンヌである。映画に音がなかったころは、舞台女優こそ天職だと信じていたようだが、トーキーの到来と共に映画界からもお呼びがかかり、舞台と映画を並行する形でその演技力をみがいていった。フランス出身らしいエスプリと、ニューヨーク育ちという都会的なジョークで観客をなごませたものだ。
 主にフランク・キャプラ、プレストン・スタージェス、ミッチェル・ライゼン、エルンスト・ルビッチなどのコメディ映画監督の作品に多数出演しているが、一番の当たり役は「或る夜の出来事」(34)。いまだに僕はこれは恋愛映画の最高傑作だと思う。クローデット・コルベールはとても舞台女優とは思えないほど、映画然としたコメディエンヌぶりを発揮している。綺麗な脚をちらつかせて車をとめるヒッチハイクのシーンなど、その後のラブコメのお手本となった名場面も多い。ふんわりした丸顔で、決して美貌を売りにしている女優ではないが、それなのに彼女にはすごくひかれる何かがある。「或る夜の出来事」では彼女をより可愛らしく見せるために映像に少しボカシがかかっていたはずだ。恋する女の子はやっぱり可愛いと思わせる映画だった。これで人気が頂点に達したが、これと同じ時期に舞台時代から連れ添っていたノーマン・フォスターと離婚したかと思うと、すぐに医者と結婚している。 40年代からはシリアスものでも活躍した。
 以前紹介したメアリー・ピックフォードと同じく、クローデット・コルベールも左側からしか写真を撮らせなかった女優だ。そうとう左側からのアングルに自信があったのに違いない。

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