キャンディス・バーゲン (今週のスター)

女優業のかたわらカメラウーマン
 「愛の狩人」(71)、「風とライオン」(76)、「ベストフレンズ」(80)などのほか、エミー賞を受賞したテレビシリーズ「TVキャスターマーフィー・ブラウン」(88)で知られる人気スター、キャンディス・バーゲン。ヨーロッパの香りを漂わせる生粋のアメリカン・レディ。彼女は、名女優であるが、実は本人には女優になる意志はなかったらしい。
 腹話術師の父、モデルの母を持ち、ビバリーヒルズで育ったキャンディスは、ショービズ界に入ることを拒み、スイスに留学し、美術を学ぶ。このころからカメラの世界にのめり込み、フォトジャーナリストを目指していたという。しかし世の中を渡り歩くには金が必要。キャンディスは母譲りの美貌を生かして、NYでカメラの勉強も兼ねたモデル業を始めるが、そこで彼女を発見したのがシドニー・ルメットであった。本人は拒否したらしいが、ルメットがどうしても譲らず、「グループ」(66)に出演させられる。この演技が高く評価され、当時はグレース・ケリーの再来とまで持てはやされて、かくしてキャンディスの華やかな女優人生がスタートする。
 それでもカメラが忘れられないキャンディスは、女優業のかたわら、映画の宣伝用スチールなどを撮影。ニクソン大統領の中国訪問の写真その他多数の作品を発表し、「ヴォーグ」「コスモポリタン」「ライフ」などの写真誌で賞賛された。80年には、フランスの巨匠ルイ・マルと結婚し、マスコミを騒がせ、84年には自伝の発表と、なにかと話題の多い女優である。キャンディスの生き方は、自立した女優の理想像と言えよう。
 なお、「砲艦サンパブロ」(66)で共演したリチャード・アッテンボローは、「ガンジー」(82)のフォトジャーナリスト役にキャンディスを抜擢している。これも愛嬌。

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