100年前のクラシック映画から映画史を読み解く


ヘンリー・マンシーニ (巨匠の歴史)

簡単なMIDIファイル、用意してますよ)
Henry Mancini (1924-94)   ●とにかく曲を聴いてもらうのが早い
・テレビ・シリーズ「ピーター・ガン」-ピーター・ガンのテーマ
・映画「ハタリ!」-子象の行進
・「ピンクパンサー」シリーズ-ピンクパンサーのテーマ
●マンシーニの曲はとっても愉快
 彼の楽曲はアメリカ・日本・世界中の人々に愛された。インストゥルメンタル作家でありながらもビルボードに幾度もランクインし、あのグラミー賞の栄えある第一回アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞(「ピーター・ガン」のサントラで受賞)。マンシーニは死ぬまでに数百枚のアルバムを発表した。
 先ほど曲を実際に聴いてもらったと思うけど、どの曲も一度は聴いたことがあるでしょう? マンシーニの描くメロディラインは一度聞いたら脳裏に焼き付いてはなれない! 面白くってオシャレで愛嬌があって温かくて庶民的でノスタルジックでクセになる、何とも表現しがたい感動の音楽である。駆け出しの頃から「グレン・ミラー物語」や「ベニイ・グッドマン物語」などスイング界偉人伝の音楽を担当して腕をあげていたことと、もともとピアノとサックスが得意だったこともあって、そこら辺の音は独特なセンスがあって珍しい音色を奏でているが、パーカッションやエレキギター、その他おもちゃみたいな楽器の音もすごく楽しい。音楽そのものが踊っている感じがして、それはさながらアクションしている音楽、絵になる音楽と表現したらわかりやすいかだろうか。そんな感じだ。
 もちろん穏やかな音楽を作らせてもピカイチで、イージーリスニングの定番になっている「ムーンリバー」(たぶん世界一有名な映画音楽)ももちろん彼の手によるものである。

●映画の雰囲気をガラリと変える
 「ピンクパンサー」シリーズなど、ブレイク・エドワーズの作品の音楽のほとんどを担当しているのは有名な話であるが、ハワード・ホークスやスタンリー・ドーネンら映画史にも名高い巨匠の作品も手掛けているのは興味深い。エドワーズの映画はもともとマンシーニの音楽にピッタリで愛称も良かったが、ホークスやドーネンの場合、マンシーニと組んだことで、ガラリと映画の雰囲気と色合いが変わっているのである。「映画にはオーケストラ音楽が一番」というお決まりだったその当時で、敢えてインストゥルメンタル・ポップの要素を盛り込んだわけだが、それが妙にマッチした。ホークスの野獣狩りをテーマにした壮大なるアクション・ロマン「ハタリ!」はマンシーニが音楽を担当したお陰で、非常に微笑ましいのどかなコメディに大変身。ドーネンの殺人サスペンス「シャレード」はマンシーニが音楽を担当したお陰で、スリリングで垢抜けたラブ・コメディに大変身。マンシーニに興味を持たれたのなら、何よりもこの2本を見ることをお薦めする。

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