太陽の届かぬ世界 (名作一本)
1964年/フランス
ドキュメンタリー映画
監督:ジャック・イヴ・クストー
<アカデミー賞受賞>
・最優秀ドキュメンタリー賞
ジャック・イヴ・クストー
(1910~1997)
冒険好きにはたまらない
僕は「探検」が大好きな少年だった。毎日学校の帰りに山奥を探検した思い出がある。だから僕はこの「太陽のとどかぬ世界」にただならぬ感動を覚えた。この映画は冒険心旺盛な人間にとっては、とにかくエキサイティングな内容となるであろう。
この作品は、世界的に有名なあの探検家ジャック・イヴ・クストー氏が撮った、本物の探検映画である。
クストーという人物
クストーは僕が誰よりも尊敬しているフランス人だ。左下写真のかっこいい人物がクストーである。クストーは天才的な探検家・研究家で、海底探検者としては、世界一有名なパイオニアである。その後の海洋学にも多大の影響を与えており、フランスでは最も国民に愛されていた人物だ(人気投票ではいつも1位だった)。
クストーの大きな偉業は次の3つである。
(1)スキューバを発明
人類初、水深18メートルの世界を泳いだ。
(2)水中撮影ができるカメラを考案
海底生物たちの生態を初めて記録する。
(3)海底基地を建設
人間が初めて海底で生活することに成功。
「太陽のとどかぬ世界」は、この3つの功績が生かされ、刺激的なドキュメンタリー映画に仕上がっている。映画的にも上出来で、クストーの見せ方・語り口調にはまさにワザがあり、他のドキュメンタリーのスタイルとは異なる新鮮な面白さがある。
クストーは著書に「沈黙の世界」があり、同名の記録映画も撮っているが、科学的興味から言ってこちらの「太陽のとどかぬ世界」に軍配をあげたい。
SFではない本当の世界
この映画が面白いのは、見る映像すべてが未知のものだからである。公開当時(64年)は本当に驚異的映像に見えたに違いない。というより、今見てもこの映像は新鮮である。
海底に3LDKほどの基地(というよりは家)を建て、その中で人間たちが生活している。基地の中には、学者だけでなく、コックもいれば理髪師もいる。リビングでは日光浴ならぬ紫外線浴をしながら読書したり、日記を書いたりして楽しんでいる。重力は2倍、気圧も2倍、ヘリウムのせいで声の高さも2倍になっている。まさにその生活している様子は、SF映画を見ているような気さえ覚えるが、これが現実だと思うと、もう感動で胸がいっぱいになる。また、隊員たちがたくさんの不思議な海底生物と出会うところも見逃せない。彼らにとっては毎日が未知との遭遇である。
ラストでは、クストーが自作の小型探査機に乗って、更に深海へと深く深く潜っていく。真っ暗闇の中、頼りは探査機のライトのみ。そして彼らが最後にいきついたところは、深海の洞窟の中に見つけたエアポケットだった。ハッチを開け、探査機から出て空気の味を噛みしめる隊員の感動。これはもう冒険好きの男たちにはたまらない映像体験だ。
ドキュメンタリー映画
監督:ジャック・イヴ・クストー
<アカデミー賞受賞>
・最優秀ドキュメンタリー賞
ジャック・イヴ・クストー
(1910~1997)
冒険好きにはたまらない
僕は「探検」が大好きな少年だった。毎日学校の帰りに山奥を探検した思い出がある。だから僕はこの「太陽のとどかぬ世界」にただならぬ感動を覚えた。この映画は冒険心旺盛な人間にとっては、とにかくエキサイティングな内容となるであろう。
この作品は、世界的に有名なあの探検家ジャック・イヴ・クストー氏が撮った、本物の探検映画である。
クストーという人物
クストーは僕が誰よりも尊敬しているフランス人だ。左下写真のかっこいい人物がクストーである。クストーは天才的な探検家・研究家で、海底探検者としては、世界一有名なパイオニアである。その後の海洋学にも多大の影響を与えており、フランスでは最も国民に愛されていた人物だ(人気投票ではいつも1位だった)。
クストーの大きな偉業は次の3つである。
(1)スキューバを発明
人類初、水深18メートルの世界を泳いだ。
(2)水中撮影ができるカメラを考案
海底生物たちの生態を初めて記録する。
(3)海底基地を建設
人間が初めて海底で生活することに成功。
「太陽のとどかぬ世界」は、この3つの功績が生かされ、刺激的なドキュメンタリー映画に仕上がっている。映画的にも上出来で、クストーの見せ方・語り口調にはまさにワザがあり、他のドキュメンタリーのスタイルとは異なる新鮮な面白さがある。
クストーは著書に「沈黙の世界」があり、同名の記録映画も撮っているが、科学的興味から言ってこちらの「太陽のとどかぬ世界」に軍配をあげたい。
SFではない本当の世界
この映画が面白いのは、見る映像すべてが未知のものだからである。公開当時(64年)は本当に驚異的映像に見えたに違いない。というより、今見てもこの映像は新鮮である。
海底に3LDKほどの基地(というよりは家)を建て、その中で人間たちが生活している。基地の中には、学者だけでなく、コックもいれば理髪師もいる。リビングでは日光浴ならぬ紫外線浴をしながら読書したり、日記を書いたりして楽しんでいる。重力は2倍、気圧も2倍、ヘリウムのせいで声の高さも2倍になっている。まさにその生活している様子は、SF映画を見ているような気さえ覚えるが、これが現実だと思うと、もう感動で胸がいっぱいになる。また、隊員たちがたくさんの不思議な海底生物と出会うところも見逃せない。彼らにとっては毎日が未知との遭遇である。
ラストでは、クストーが自作の小型探査機に乗って、更に深海へと深く深く潜っていく。真っ暗闇の中、頼りは探査機のライトのみ。そして彼らが最後にいきついたところは、深海の洞窟の中に見つけたエアポケットだった。ハッチを開け、探査機から出て空気の味を噛みしめる隊員の感動。これはもう冒険好きの男たちにはたまらない映像体験だ。