イエロー・サブマリン (名作一本)
Yellow Submarine
<イギリス/1968年/アニメーション>
製作:アル・ブロダックス
監督:ジョージ・ダニング、ジャック・ストークス
音楽:ジョージ・マーティン
ビートルズのメンバー4人がサイケなロック音楽に乗って不思議な世界を大冒険。突然おじいさんになったり、怪物に食べられたり、もう大変!
●僕は確かにビートルズびいきだけど、ちょっとまってくれ
ビートルズの映画としてはベスト。ニューヨークのタワーイースト劇場では土曜日一日で1万526ドルの収入をあげ、同劇場の新記録を打ち立てたお化けアニメ。
僕がビートルマニアということは皆さんご存じの通りだが、かといって僕は贔屓してこのコーナーにこれを選んだわけではない。これが非常に優れた「映画」だから選んだのである。映画らしい楽しさに満ちた映画だからである。
●サイケデリック音楽をキレたアニメのイメージで
ビートルズの最高傑作のひとつである「イエロー・サブマリン」をテーマに、ビートルズのメンバー4人が大冒険を繰り広げるという物語で、4人の声はアニメ声優によるアフレコだが、彼らのサイケデリックなロック・ミュージックを引用して、奇抜なアイデアのアニメーション映像へとイメージ化させており、このセンスのキレ具合がたまらないのである。
この当時はサイケ・カルチャー全盛であり、絵画・音楽・映画などあらゆる芸術でトリップ状態を表現することが流行りだったが、この映画ほど最も的を射たものはなかっただろう。目が回りそうなカラフルな映像は、まさしくドラッグ・ムービーそのものである。
●ポップアートのセンスいっぱいで、大人の方が楽しめるかも
絵は決してディズニーのように表情豊かな動きを見せたりはしないが、切り口が斬新で、突如とんでもない不意打ちをかけてきたり、まるで色のシャワーを浴びせられた気分になる。1シーン1シーンの印象は、ポップアートとしても十分売り出せるシュールさだ。
イエロー・サブマリンにのって次から次へとファンタジックで危険な世界の奥地へと入り込んでいく様は、「果たして彼らはここから抜け出せるのか?」なんて思ってしまうほどスリリングであり、その感覚は、さながら「ふしぎの国のアリス」のビートルズ版といったところか。子供向けに作っているようで、実は大人の方が楽しめる深さ。とにかくこの可能性は言葉で表現できない感動なので、見てもらうしかない。
ちなみに日本では興行的な作戦として「チキ・チキ・バンバン」と併映されるも、興行的には失敗している。
(第25号 「名作一本」掲載)
<イギリス/1968年/アニメーション>
製作:アル・ブロダックス
監督:ジョージ・ダニング、ジャック・ストークス
音楽:ジョージ・マーティン
ビートルズのメンバー4人がサイケなロック音楽に乗って不思議な世界を大冒険。突然おじいさんになったり、怪物に食べられたり、もう大変!
●僕は確かにビートルズびいきだけど、ちょっとまってくれ
ビートルズの映画としてはベスト。ニューヨークのタワーイースト劇場では土曜日一日で1万526ドルの収入をあげ、同劇場の新記録を打ち立てたお化けアニメ。
僕がビートルマニアということは皆さんご存じの通りだが、かといって僕は贔屓してこのコーナーにこれを選んだわけではない。これが非常に優れた「映画」だから選んだのである。映画らしい楽しさに満ちた映画だからである。
●サイケデリック音楽をキレたアニメのイメージで
ビートルズの最高傑作のひとつである「イエロー・サブマリン」をテーマに、ビートルズのメンバー4人が大冒険を繰り広げるという物語で、4人の声はアニメ声優によるアフレコだが、彼らのサイケデリックなロック・ミュージックを引用して、奇抜なアイデアのアニメーション映像へとイメージ化させており、このセンスのキレ具合がたまらないのである。
この当時はサイケ・カルチャー全盛であり、絵画・音楽・映画などあらゆる芸術でトリップ状態を表現することが流行りだったが、この映画ほど最も的を射たものはなかっただろう。目が回りそうなカラフルな映像は、まさしくドラッグ・ムービーそのものである。
●ポップアートのセンスいっぱいで、大人の方が楽しめるかも
絵は決してディズニーのように表情豊かな動きを見せたりはしないが、切り口が斬新で、突如とんでもない不意打ちをかけてきたり、まるで色のシャワーを浴びせられた気分になる。1シーン1シーンの印象は、ポップアートとしても十分売り出せるシュールさだ。
イエロー・サブマリンにのって次から次へとファンタジックで危険な世界の奥地へと入り込んでいく様は、「果たして彼らはここから抜け出せるのか?」なんて思ってしまうほどスリリングであり、その感覚は、さながら「ふしぎの国のアリス」のビートルズ版といったところか。子供向けに作っているようで、実は大人の方が楽しめる深さ。とにかくこの可能性は言葉で表現できない感動なので、見てもらうしかない。
ちなみに日本では興行的な作戦として「チキ・チキ・バンバン」と併映されるも、興行的には失敗している。
(第25号 「名作一本」掲載)