大脱走 (名作一本)

The Great Escape

<アメリカ/1963年/戦争>
製作・脚本:ジョン・スタージェス/原作:ポール・ブルックヒル
脚本:ジェームズ・クラベル、 W・R・バーネット
撮影:ダニエル・L・ファップ/音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:スティーヴ・マックイーン、リチャード・アッテンボロー、
ジェームズ・ガーナー、ジェームズ・コバーン、
チャールズ・ブロンソン、ドナルド・プレゼンス




第二次大戦下、ドイツ軍の捕虜収容所に捕らわれた連合軍たちが
巧みなチームワークで抜け穴を掘り、大脱走を試みるスペクタクル大作。
実話を元に映画化。

●豪快でテンポのいいアメリカ映画
 僕の大好きな映画である。何回も何回も繰り返しみたし、僕が初めて買ったDVDも実はこれだ。
 それだけハマる要因は、やはりジョン・スタージェス監督御得意の男らしさがプンプンしているからだろう。いかにもアメリカ映画的な、豪快なアクション映画であり、ハイテンポのサスペンスであり、熱いヒューマンドラマである。
 長い映画だが、ちょっとしたユーモアや軽快な音楽が心地よく、スリリングな見せ場もいっぱいあって、最後まで飽きない。まさしく欠点ゼロの娯楽超大作だ。

●役割分担、それぞれの結末
 出演者の豪華さもまたたまらない。役者は全員男だが、チャールズ・ブロンソンはトンネル掘り、ドナルド・プレゼンスは偽造係りという風に、キャラクターそれぞれが役割分担をしているところが面白く、みんな演技に活気がある。
 それぞれのキャラクターの仕事を同時進行で描いていく見せ方などもとても上手いが、いよいよ収容所を脱走しての後半からは登場人物それぞれが全く違う運命を辿ることになり(飛行機で逃げる者、自転車で逃げる者、徒歩で逃げる者、etc・・・)、各人がユニークな結末を迎えるのが面白い。それぞれがドラマチックで、それぞれがサスペンスフルである。その描き方が実に軽快で気持ちいいのである。

●スティーヴ・マックイーン様々
 キャストの中で特に大当たりといいたいのがスティーヴ・マックイーンである。バイクに乗って追ってから逃げていくシーンなどは興奮さめやらない。彼は同作でいつも以上に親近感も感じさせてくれるが、だからこそラストの締めの演技がさわやか。また、ラフな格好でありながらも着こなしもお見事。この作品は彼の一番の代表作となった。
(第24号 「名作一本」掲載)


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