ターミネーター (名作一本)
The Terminator
【R指定】
<アメリカ/1984年/SF>
製作・脚本:ゲイル・アン・ハード/監督・脚本:ジェームズ・キャメロン
撮影:アダム・グリーンバーグ/音楽:ブラッド・フィーデル
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、
マイケル・ビーン、ポール・ウィンフィールド、ランス・ヘンリクセン
核戦争勃発後の未来からやってきたロボットと人間の壮絶な戦いを描いたSFホラー・バイオレンス映画。
まだ無名だったジェームズ・キャメロン監督の名を有名にしたヒット作である。
●B級ぽいけどよくできていた
僕はこれを中学の頃にテレビで見てぶったまげた。何遍も何遍も繰り返しみて、熱中した。あの大袈裟なくらい迫力十分の銃声音、いかにもSFホラーチックな鼓動のような音楽、撃っても撃っても死なないシュワの無表情の演技、回想シーンで見せる未来社会の強烈なイメージ。僕は相当感化されてしまい、全シーンを漫画で再現したりした。その衝撃は今見ても変わらない。
この映画は多少B級の印象を拭えないでいるが、まだ素人だったジェームズ・キャメロンの野心的な演出が随所に見て取れ、卓越したシーンの宝庫といえるボリュームである。銃撃戦もあればカーチェイスもあり、娯楽映画の壺を押さえた見事な出来映えである。
●とにかく”よけさせない”
この映画を魅力的にした最大の要因はターミネーターの無敵ぷりと冷酷さである。
キャメロン監督はターミネーターを画面中央に堂々と立たせ、銃で撃たれようが、コンボイトラックにひかれようが、とにかくクールに”よけさせなかった”。が、撃たれても撃たれても、ターミネーターはやおら立ち上がり、再び前進する。彼にはサラ・コナーを抹殺することだけしかインプットされていない。そこに不死身ぷりが強調され、見るものを引き込む。
自らモーテルの一室で腕と目の治療をする地味なシーンから、警察署を全滅させる派手なシーンまで、ターミネーターは実に魅力的に描かれている。ときたま映像がターミネーターからの目線の映像になるときがあるが、「発言」を選択するシーンなど、なかなか印象的であった。
サイボーグでありながら、安っぽいミサイルなどは装填しておらず、あくまで人間タイプに設定したことはホラー度を上げる結果にもなっている(だから前半はシュワがロボットだとはわからない)。
●鬼気迫るクライマックス
クライマックスになるとターミネーターが機械の姿を露わにするが、それでもなお執念深くサラを追い続けるあたりの描写力も凄まじいものがある。
サラたちも弱ってきて、歩けない状態なのだが、その後ろをターミネーターがカツカツと音をたてて追ってくるシーンの何たる演出力! 鉄の扉を閉めるまでの1カットには思わず画面からのけぞりたくなる恐怖感がある。鉄の棒で勢いよく頭をぶん殴るシーンの重量感も凄いが、上半身だけになってもまだサラを追い続けるところもたまらない。
●盗作問題
「ターミネーター」が盗作問題になったことは余り知られていないが、実は「アウターリミッツ」という60年代のテレビシリーズのパクリだと訴訟を起こされ、敗訴しているのだ。それほど問題になるということは、それだけこの映画が人を妬ませるほど面白かったということだろう。
(第23号 「名作一本」掲載)
【R指定】
<アメリカ/1984年/SF>
製作・脚本:ゲイル・アン・ハード/監督・脚本:ジェームズ・キャメロン
撮影:アダム・グリーンバーグ/音楽:ブラッド・フィーデル
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、
マイケル・ビーン、ポール・ウィンフィールド、ランス・ヘンリクセン
核戦争勃発後の未来からやってきたロボットと人間の壮絶な戦いを描いたSFホラー・バイオレンス映画。
まだ無名だったジェームズ・キャメロン監督の名を有名にしたヒット作である。
●B級ぽいけどよくできていた
僕はこれを中学の頃にテレビで見てぶったまげた。何遍も何遍も繰り返しみて、熱中した。あの大袈裟なくらい迫力十分の銃声音、いかにもSFホラーチックな鼓動のような音楽、撃っても撃っても死なないシュワの無表情の演技、回想シーンで見せる未来社会の強烈なイメージ。僕は相当感化されてしまい、全シーンを漫画で再現したりした。その衝撃は今見ても変わらない。
この映画は多少B級の印象を拭えないでいるが、まだ素人だったジェームズ・キャメロンの野心的な演出が随所に見て取れ、卓越したシーンの宝庫といえるボリュームである。銃撃戦もあればカーチェイスもあり、娯楽映画の壺を押さえた見事な出来映えである。
●とにかく”よけさせない”
この映画を魅力的にした最大の要因はターミネーターの無敵ぷりと冷酷さである。
キャメロン監督はターミネーターを画面中央に堂々と立たせ、銃で撃たれようが、コンボイトラックにひかれようが、とにかくクールに”よけさせなかった”。が、撃たれても撃たれても、ターミネーターはやおら立ち上がり、再び前進する。彼にはサラ・コナーを抹殺することだけしかインプットされていない。そこに不死身ぷりが強調され、見るものを引き込む。
自らモーテルの一室で腕と目の治療をする地味なシーンから、警察署を全滅させる派手なシーンまで、ターミネーターは実に魅力的に描かれている。ときたま映像がターミネーターからの目線の映像になるときがあるが、「発言」を選択するシーンなど、なかなか印象的であった。
サイボーグでありながら、安っぽいミサイルなどは装填しておらず、あくまで人間タイプに設定したことはホラー度を上げる結果にもなっている(だから前半はシュワがロボットだとはわからない)。
●鬼気迫るクライマックス
クライマックスになるとターミネーターが機械の姿を露わにするが、それでもなお執念深くサラを追い続けるあたりの描写力も凄まじいものがある。
サラたちも弱ってきて、歩けない状態なのだが、その後ろをターミネーターがカツカツと音をたてて追ってくるシーンの何たる演出力! 鉄の扉を閉めるまでの1カットには思わず画面からのけぞりたくなる恐怖感がある。鉄の棒で勢いよく頭をぶん殴るシーンの重量感も凄いが、上半身だけになってもまだサラを追い続けるところもたまらない。
●盗作問題
「ターミネーター」が盗作問題になったことは余り知られていないが、実は「アウターリミッツ」という60年代のテレビシリーズのパクリだと訴訟を起こされ、敗訴しているのだ。それほど問題になるということは、それだけこの映画が人を妬ませるほど面白かったということだろう。
(第23号 「名作一本」掲載)