がんばれ!ベアーズ (名作一本)

The Bad News Bears

<アメリカ/1976年/コメディ>
製作:スタンリー・R・ジャッフェ/監督:マイケル・リッチー
脚本:ビル・ランカスター/撮影:ジョン・A・アロンゾ
音楽:ジェリー・フィールディング
出演:ウォルター・マッソー、テイタム・オニール



●テイタム・オニール(子役)
 「がんばれ! ベアーズ」は私のお気に入りよ。
 でも、パパの言いつけで、この頃は、映画には高校卒業まで出ちゃ駄目って言われてたのよ。でも、この映画にはどうしても出たかったの。
 この当時、リトル・リーグで女の子の選手は珍しかったのに、この映画では女の子が男の子よりも大活躍するんですもん。絶対に出てやると思ったの。そしたらパパもこの映画の脚本を気に入ってくれて、出ても良いことになったわ。何てったって脚本はバート・ランカスターさんの息子さんが書いたんですもんね。
 ところが、私は野球を全くやったことがなかったの。ボールだって持ったことなかったわ。だからパパが出演を拒否されないように猛特訓してくれて、ようやくエース並のピッチングができるようになったわ。この映画はその意味でも思い出深いの。

●マイケル・リッチー(監督)
 僕はこの映画、よくできたと思っているよ。調子にのって続編を二つも作ってしまったのはちょいと反省してるけど、最初の奴だけは自分でも予想を上回る大成功だったよ。批評家たちも褒めてくれたし、嬉しいね。生意気なガキたちが凄く良かっただろ。このガキたちを指導するのは大変だったよ。でも、自由奔放にやらせてやったよ。結果、カメラにはとても無邪気に映ったんだ。この映画の一番の見所は、子供たちのガキっぷりだと思ってる。
 へっぽこチームが最強チームになっていくところは、僕ら人間なら誰だって共感できる内容だと思ったけど、感動しただろ。何年か前に「メジャーリーグ」って映画がでてきたけど、あれって俺の映画の真似なんだよね。絶対そうさ。あの映画が出てきたせいで、俺の映画は「古い」って言われるようになっちまったよ。
 あ、そうそう、ビゼーの「カルメン」をうまーくリトルリーグにマッチさせているとこ! あれ、僕の自慢です。

●ウォルター・マッソー(主演)
 この映画は子供向けのコメディかもしれんが、大人にも楽しめる作品だと思う。というより、大人の人にこそ感動してもらいたい映画だ。この映画をみて、何かを学んだのなら、俺も本望だ。
 この映画の素晴らしさは、クライマックスの試合のシーンにあると思う。俺の演じるコーチは自分の命令を絶対だと思っていて、子供たちの名誉も考えずにひどい命令を下してしまうのだが、後から勝敗よりももっと大切なものを得る。へっぴり腰のチビが全力を出してボールをキャッチする、あのシーンがこの映画のハイライトだ。
 俺が演じるキャラクターのほとんどは、飲んだくれか、はたまた頑固親父みたいなイメージがあるみたいだが、俺は気にしちゃいない。この映画の主人公みたいに、今まで演ってきた役は、俺にしかできない人物ばかりだったからね。この映画も、俺だからこそ、観客の感動はひときわ大きくなったんじゃないかな。

●ヴィック・モロー(脇役)
 へっ。どうせ俺は嫌われ役だよ。
(第22号 「名作一本」掲載)

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