大列車強盗 (名作一本)

The Great Train Robbery

<アメリカ/1903年/8分/西部劇>
監督:エドウィン・S・ポーター/出演:ジョージ・バーンズ


●最初の「映画」
 西部劇「大列車強盗」は、本格的なプロットを持った最初の映画である。それまで映画は「摩訶不思議な動く写真」というだけしかなかったが、この作品から、映画が今で言う「映画」となったのだ。
 1905年世界で初めての常設映画館ニッケルオデオン(入場料5セント)が誕生したときも、この映画はこけら落としで上映されたとか。

●観客に向かってバーン!
 何が一番驚いたのかというと、いきなり強盗が観客に向かって銃を撃つところだ。客席からは悲鳴もあがったというが、それだけこの映画がそれまでの映画とは違う特別なものだということである。

●凝ったストーリー展開
 たった10分弱の映画なのに、凝ったストーリー展開には感心させられる。場面は14つあるが、セットも複数使っており、スケールが大きく、全てのシーンに事件が描かれており、アクションたっぷり、サスペンスたっぷり、見せ場見せ場の連続である。
 古い手法なので、今見てみてもショックはほとんど受けないが、当時これだけの見せ場の入った映画はなかったので、この映画の誕生は相当な進歩だったに違いない。

●演出にも開拓魂が
 窓の外に動く列車が写ったり、クロースアップや移動撮影を駆使したりして、演出も新しいことに挑戦している様子が感じられる。観客たちも感動し、当時はアンコール上映もせがまれたという。
 これまでのトーマス・エジソン、ジョルジュ・メリエスの映画は、この映画の誕生と共に、衰退した。エドウィン・S・ポーターの映画作りに対する開拓魂は、後に弟子のD・W・グリフィスが引き継ぐことになる。

(第20号 「名作一本」掲載)

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