バグダッドの盗賊 (名作一本)

The Thief of Bagdad

<アメリカ/1924年/139分/アクション>
製作・出演:ダグラス・フェアバンクス
監督:ラオール・ウォルシュ/脚本:ロッタ・ウッズ
出演:ジュラン・ジョンストン、マティールド・コウモント、
ノウブル・ジョンスン、上山草人



●ストーリー
 バグダッドの都で、美しいお姫様の婿選びフェスティバルが開催される。ペルシアの王子、インドの王子、モンゴルの王子が、自分こそ姫をものにしようと、宮殿へと訪れるが、それに紛れてバグダッドの盗賊も登場。
 お姫様は、7ヶ月以内に、世にも珍しい宝を探して戻ってきた王子と結婚をすると発表。かくして摩訶不思議な冒険が開始される。
 ペルシアの王子は未来を予見する水晶玉を、インドの王子は空飛ぶカーペットを、モンゴルの王子は死者を蘇生させるリンゴを手に入れる。
 バグダッドの盗賊もまた、火を吐く竜と果敢に戦い、苦心の末、身を隠す衣を手に入れるのだったが・・・・・・。

●公開時の時代背景
 1924年製作の本作は、もちろんサイレント映画である。
 まだ当時、映画は見せ物みたいなものだった。世間に受けていた映画は、目で見て楽しめる豪快なコメディとアクションである。
 「バグダッドの盗賊」は、そういう時代背景を感じさせてくれる傑作だ。「アラビアン・ナイト」をベースにした、エキゾチックな魔法の世界が舞台である。
 ウィリアム・キャメロン・メンジーズが美術担当をした巨大セットと衣裳の見せる世界観の豪華さと、エンターテインメント性豊かな見せ場で詰まった2時間20分というボリューム、そして出演者の大胆なアクションが見事に調和して、壮大なるファンタジーが完成している。
 これは、当時の観客たちにとっては、まさに驚異だったに違いない。今見ても、セットの規模のでかさには驚いてしまう。黎明期ハリウッドならではの絢爛さがこの映画にある。

●アクション・スター・フェアバンクス
 主演のダグラス・フェアバンクスは、無声映画期、最高のアクション・スターだった。この映画では、フェアバンクスのアクロバティックな演技を存分に楽しむことができる。かなりオーバー・アクトだが、とにかく早いこと早いこと。もう見ていてすこぶる気持ちいい!!
 彼は、娯楽映画時代ならではのスターといえる。この映画も、”映画を楽しむ”というよりは、”フェアバンクスのアクロバットを楽しむ”ために見るものといった方がいいかもしれない。まだ”映画芸術”が確立されてなかった時代だからこそ、観客に愛されたのかもしれない。

●壁を越え、火中に潜り、空を飛ぶ
 最後に僕の思い入れを書こう。
 実はこの映画は、僕が一番気に入っているアクション映画だ。もともと「アラビアン・ナイト」の世界が大好きってこともあるけど、これは何と行ってもダグラス・フェアバンクスがかっこよかった。
 魔法のロープを取り出すと、あら不思議、ロープがニョキニョキっと天井に登っていって、どんな高い壁でもひとっとび。これにはほんと興奮した。彼が大きな壺の中から出てきて、ひゅんひゅんと壺から壺へと跳び移るシーンのノンストップ・アクションには、何度見ても惚れ惚れする。火の中に飛び込んだり、巨大な猛獣を相手に勇敢に戦うところもゾクゾク! ラストではお姫様のハートを掴み、魔法の絨毯で空を飛んでいく・・・・・・。これはもう男の憧れだね。
(第12号 「名作一本」掲載)

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