キング・コング (名作一本)

King Kong

<アメリカ/1933年/ホラー>
製作総指揮:デビッド・O・セルズニック
製作・監督:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シェードザック
出演:フェイ・レイ、ロバート・アームストロング

ネタばらしをしています。

●特撮映画の元祖
 1933年の作品。これが怪物ホラー映画としては空前の大ヒットを記録、特撮映画の元祖となる。
 精巧なミニチュアを作って、1コマ1コマ撮影するたびに、少しずつミニチュアを動かして、気の遠くなるような手間と暇をかけて、モーションを形づくっていく。この手法は、CGが登場するまで、長いこと特撮映画のマニュアルであったが、その手法を完璧に確立させた「キング・コング」は、若いSFXマニアにとってもたまらない一本である。

●大迫力! 怖い!
 「キング・コング」の内容は有名である。人間の女性に恋した巨大なゴリラが、エンパイア・ステート・ビルに登るシーンはあまりにも有名だ。しかし、「キング・コング」の魅力はそれだけではない。この映画は実は凄く怖い作品なのである。キング・コングはまるで人間様を蚊のように殺していく。逃げまどう人間・隠れている人間を鷲掴み。空から振り落とす。こりゃたまらん。
 この映画には、恐竜も登場するが、キング・コングはその恐竜と大迫力の決闘もやってくれる。とにかく怖くて、それでいてワクワク興奮させる傑作なのだ。

●本当は悲しい物語
 よくいわれることだが、この映画は悲劇である。我々が逃げまどう人間の身になって恐怖を味わうのは一時的なもので、後からはキング・コングの叫びが悲しく思えてしまう。報われない恋、そして納得いかぬまま殺されてしまうという運命。我々はキングに同情してしまうのだ。
 ちなみに、主演女優のフェイ・レイはこの作品で、スクリーミング女優(叫ぶのが売りの女優)の栄えある女王になった。

(第7号 「名作一本」掲載)

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