100年前のクラシック映画から映画史を読み解く


エロール・フリン (今週のスター)

映画でも私生活でも相手をぶっとばす
  漢字二文字で表現するならば「豪傑」か。演じてきたキャラクターはロビン・フッドやドンファンなど、いかにも男くさい役ばかり。
 僕はエロール・フリンといったら、いつもダグラス・フェアバンクスを比較連想してしまう。というのも、二人が演じてきた役柄にはかなりの共通点があるからだ。ダグラスは20年代のサイレント期、エロールは30年代のトーキー初期を代表する稀代(きたい)の活劇スターであるし、ダグラスが海賊映画で有名になったように、エロールも「海賊ブラッド」(35)で有名になった俳優だ。
 二人とも実力は五分五分だが、体を張ったアクションではダグラスがややうわ手か。エロールはその分をセクシーなルックスでカバーしていた。おもにマイケル・カーティス監督のアクション映画に多く出演し、決まって相手役はオリヴィア・デ・ハヴィランドだった。
 一番のオススメは「シー・ホーク」(40)だ。これも海賊もの。エロールは当時にしては珍しく総天然色映画の作品に多く出演しており、僕も色つきのエロールの顔が脳裏に焼き付いているが、「シー・ホーク」に関してはモノクロである。これがいいんだなあ。すごい早さで敵と戦う時の洗練された剣さばき。その男気。ダグラスもエロールも剣を持たせたら敵わない。僕はこのチャンバラだけ3回くらい巻き戻して見たもんだ。それがエロールを好きになったきっかけである。
 でもどうしても好きになれないのが私生活面である。かなりスキャンダルが多かった俳優で、暴行・殺人などで刑務所に何度も御用になっている。名声とは裏腹に、ずいぶんと落ちぶれてしまうものである。だからこそ後年では最も評判が良かった汚名返上作「日はまた昇る」(57)の「らしくない」役柄が感慨深い。

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