エドワード・マロー (今週のスター)

テレビキャスターの草分け
 ジョージ・クルーニーが次回メガホンを撮る作品は、ある実在したアメリカのニュースキャスターの伝記になるという。そのニュースキャスターが、アメリカの良心といわれたエドワード・マローである。エドワード・マローはCBSラジオのニュースキャスターであり、テレビキャスターの草分けにもなった偉人である。実は、無数のスターたちがチョイ役で出演する「80日間世界一周」(56)のプロローグシーンに登場する案内役こそ、エドワード・マローその人なのだ。
 マローは、1938年、ヒトラーのオーストリア侵攻を発取材。感情を抑えての独特のマロー節で、初放送にして、一躍有名になる。以後、マローの現地レポート番組の影響でラジオが急速に普及していく。41年、帰国したときにはルーズベルト大統領のディナーに招かれるほどの歓迎ぶりだった。
 戦後はテレビがすごい勢いで普及。マローはテレビにも貢献。マローの定時ニュース番組は初めて成功した報道番組といわれている。51年にはドキュメンタリー番組「シー・イット・ナウ」を手がけるが、テレビの映像力とメッセージ性を利用した番組として「テレビ・ジャーナリズム」と評され、人気番組となる。54年の赤狩り批判は、FBIにマークされるほどで、テレビ史上の伝説になっている。なお、アメリカで最も信頼できる男と言われたCBSキャスターのウォルター・クロンカイトを育てたのもマローだった。マローのその闘士、疲れを知らない強靱な精神力は、僕らも見習うべきものがある。まさにマローは20世紀マスメディアの神様だった。
 と、色々書いたけど、マローといっても日本人は誰もピンとこないだろう。映画俳優の役所広司は世界で通用するが、テレビタレントの所ジョージは国内でしか通用しないのと同じで、マローはアメリカではスターであっても、日本人にはあまり馴染みのない人物である。僕は前からマローのことはずっと気になっていたが、この人の半生がドラマ化されるなんて、「やっとか」と思いつつ、けっこう楽しみである。日本人も、この機会に、マローのことを覚えましょ。

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