武士の一分 (映画史博物館)

山田洋次の3本目の時代劇。『たそがれ清平衛』、『隠し剣 鬼の爪』から、観客の間では「またかよ」という観はあったが、ふたを開けてみると前2作に劣らぬ大傑作であった。前2作よりもより静かなタッチになっているが、中だるみすることなく、最後までぐいぐいと引っ張る手際はさすが巨匠山田洋次。クライマックスに決闘シーンがあるあたり、前2作から見ている人にとっては「待ってました」と嬉しくなる。木村拓哉が主演になったということで、公開前から何かと話題になったが、公開1ヶ月前まで木村拓哉が演じた主人公の顔を一切表に出さないマーケティング方式が功を奏していた。日本アカデミー賞は最多で受賞したが、公開前から最有力といわれた主演男優賞のみ受賞していない。これは木村拓哉の事務所の方針で辞退したためである。主演女優の壇れいはこの作品からその年一躍日本の人気女優となった。

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