エヴァ・ガードナー (今週のスター)

 「ハリウッド・スター神話」とはよく言うが、エヴァ・ガードナーほど伝説的な女優は珍しいだろう。「女優」とはエヴァのような人を言う。彼女はハリウッドのスターシステムの中に生き続けた。エヴァと聞いて顔が浮かばない人は、はっきりいいますが、モグリの映画マニアですな。このサイトで紹介するのもちょっとばかり恐れ多くてびびってしまいます。

 エヴァは見た目からして「女優」らしい風格を備えている。背が高く、あごには割れ目もある。濃くのある顔ゆえに、すぐにスカウトされ、20歳でMGMと7年契約を結ぶ。7年というのが何だか微妙に商業臭いところである。

 デビュー作は何でもない端役。ところが当時売れっ子だったミッキー・ルーニーと結婚したことで、名前だけ有名になる。ところでエヴァの男性遍歴は実に興味深い。ルーニーの次は世界一の映画実業家ハワード・ヒューズと交際している。51年には世界一の歌手シナトラと結婚している。酒好きで、すぐにカッとなったという彼女の自伝が話題にならないはずがないだろう。

 「ショウ・ボート」(50)は彼女の出演作では最も有名な作品。実はJ・ガーランドの後釜で出たミュージカルであったが、これが長らくグラマー女優のイメージを要とされてきた彼女の大きな転換期であった。演技派へとイメチェンしてからは子供の頃大好きだった映画「紅塵」のリメイクとなる「モガンボ」(53)でゲーブルと共演し、憧れのヒロインを演じた。自分の演技に自信のなかった彼女は、大人の恋愛を描いた同作でアカデミー賞にノミネートされる。その翌年に出た悲劇映画「裸足の伯爵夫人」(54)はエヴァのキャリアで最高の出来となる。

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