ブルーフィルム 青の時代1905-30 (B級映画ラボ)
100年前にもポルノ映画は存在した!
ついにこのサイトもエロに落ちぶれたか・・・なんて思わないでいただきたい。これはカンヌ映画祭にも正式出品されたれっきとした映画である。これこそ映画の大いなる遺産である。
フランスのとある好事家の屋根裏部屋から、なんと今からおよそ100年前のポルノ映画が300リールも発掘された。ミシェル・レイヤック監督はその中から傑作を12本選りすぐり、1本のアンソロジーに仕上げたのである。
これは映画史の勉強になるに違いないと思って僕も見てみた次第である。いや決してエロ目的で見たわけじゃなく、本当に映画史の勉強のためである。何度もくどく書くと逆に怪しまれるかもしれないけど、まあいいか。でも実際これは性風俗史の貴重な財産だと思える興味深い逸品には違いない。僕らが普段から抱いている大昔の人のイメージは、まず180度覆されることだろう。何しろこれは非合法の作品なので、端からいけない映画を作ってるわけだから、カメラの前で何をやっても構わないわけで、やりたい放題のその内容は、今の感覚で見ても相当なインパクトがある。3P、フェラチオ、射精、放尿、ゲイ、オナニー、獣姦、インポなど、100年前とは思えないほど内容が進んでいる。尼さんのコスプレや、街頭ナンパなど非道徳的な部分を多く扱っているのも特徴だ。驚くのは指の動かし方、舌の動かし方、愛撫のそのあまりの生々しさである。D・W・グリフィスの映画に出てきそうなオールドファッションの紳士淑女が、こんなことをやるなんて。モノクロの無声映画なので不思議な気分になった。
そもそも映画の歴史では、性的なシーンは規制が厳しく、キスすら御法度であったため、映画の上では男女の愛は大変上品なものとして描かれてきた。その規制の中であって良質のスクリューボールコメディやフィルムノワールが生まれたのだが、僕らはそこで昔の人のイメージを、古き良き時代としてまんまと刷り込まれてしまっていたような気がする。僕自身、これを見るまでは、昔の人は決して淫らなことはしないものだと勘違いしていた。ところが、こうして100年前のポルノ映画を見てみると、内容的には今のポルノと表現方法が何一つ変わっていないことがわかる。むしろ100年前の方がよくできていると思ったくらいだ。
驚くことに、映像がかなり鮮明である。よくここまで綺麗な状態で保存できたものだ。これらのフィルムは娼館の待合室で非合法に上映されていたものだといわれているが、撮影機材はそのままプロが使っていたものを流用しているように見えるし、ストーリーもカメラワークもかなりしっかりしており、その出来の良さから、もしやジャン・ルノワールが演出をしているのではないかという仮説もあるくらいだ。いくらこれがフランス映画だからって、それは行き過ぎじゃないかとも思う。それだけこれがしっかりした内容だったということだろう。そういえば、フランス映画の父シャルル・パテは太った女性のヌード・フィルムを持って巡業していたというし、フランシス・F・コッポラの「ドラキュラ」では、その時代背景にそぐわないポルノ映画が上映されているシーンが劇中見られたが、あれこそブルーフィルムだったのかもしれない。
昔も今も、風俗事情はまったくといって何も変わっていない。まったくだ。最近になってポルノが下品になったわけじゃなく、昔っから下品だったのだ。昔の人も今の人も全く同じ人間だったってわけ。それを知っただけでもこの映画は歴史的価値があると思った。
それにしても面白い作品が集まったものだ。「レストランの銃士」というエピソードは、独特のユーモアとエロスが融合した、見事としか言い様がない艶笑劇になっている。また、最後に収められた「埋められた財宝」も非常に精巧にできたカートゥーンで、裏フィルムにしておくのはもったいない。これは、クラシック映画ファンとして、男として、見て損はないぞ。
原題:The Good Old Naughty Days(古き良き淫らな日々)
製作年:2002年
製作国:フランス
監督:ミシェル・レイヤック
上映時間:69分
「ブルーフィルム」DVD
※この映画は18歳未満の方は観賞できません。
ついにこのサイトもエロに落ちぶれたか・・・なんて思わないでいただきたい。これはカンヌ映画祭にも正式出品されたれっきとした映画である。これこそ映画の大いなる遺産である。
フランスのとある好事家の屋根裏部屋から、なんと今からおよそ100年前のポルノ映画が300リールも発掘された。ミシェル・レイヤック監督はその中から傑作を12本選りすぐり、1本のアンソロジーに仕上げたのである。
これは映画史の勉強になるに違いないと思って僕も見てみた次第である。いや決してエロ目的で見たわけじゃなく、本当に映画史の勉強のためである。何度もくどく書くと逆に怪しまれるかもしれないけど、まあいいか。でも実際これは性風俗史の貴重な財産だと思える興味深い逸品には違いない。僕らが普段から抱いている大昔の人のイメージは、まず180度覆されることだろう。何しろこれは非合法の作品なので、端からいけない映画を作ってるわけだから、カメラの前で何をやっても構わないわけで、やりたい放題のその内容は、今の感覚で見ても相当なインパクトがある。3P、フェラチオ、射精、放尿、ゲイ、オナニー、獣姦、インポなど、100年前とは思えないほど内容が進んでいる。尼さんのコスプレや、街頭ナンパなど非道徳的な部分を多く扱っているのも特徴だ。驚くのは指の動かし方、舌の動かし方、愛撫のそのあまりの生々しさである。D・W・グリフィスの映画に出てきそうなオールドファッションの紳士淑女が、こんなことをやるなんて。モノクロの無声映画なので不思議な気分になった。
そもそも映画の歴史では、性的なシーンは規制が厳しく、キスすら御法度であったため、映画の上では男女の愛は大変上品なものとして描かれてきた。その規制の中であって良質のスクリューボールコメディやフィルムノワールが生まれたのだが、僕らはそこで昔の人のイメージを、古き良き時代としてまんまと刷り込まれてしまっていたような気がする。僕自身、これを見るまでは、昔の人は決して淫らなことはしないものだと勘違いしていた。ところが、こうして100年前のポルノ映画を見てみると、内容的には今のポルノと表現方法が何一つ変わっていないことがわかる。むしろ100年前の方がよくできていると思ったくらいだ。
驚くことに、映像がかなり鮮明である。よくここまで綺麗な状態で保存できたものだ。これらのフィルムは娼館の待合室で非合法に上映されていたものだといわれているが、撮影機材はそのままプロが使っていたものを流用しているように見えるし、ストーリーもカメラワークもかなりしっかりしており、その出来の良さから、もしやジャン・ルノワールが演出をしているのではないかという仮説もあるくらいだ。いくらこれがフランス映画だからって、それは行き過ぎじゃないかとも思う。それだけこれがしっかりした内容だったということだろう。そういえば、フランス映画の父シャルル・パテは太った女性のヌード・フィルムを持って巡業していたというし、フランシス・F・コッポラの「ドラキュラ」では、その時代背景にそぐわないポルノ映画が上映されているシーンが劇中見られたが、あれこそブルーフィルムだったのかもしれない。
昔も今も、風俗事情はまったくといって何も変わっていない。まったくだ。最近になってポルノが下品になったわけじゃなく、昔っから下品だったのだ。昔の人も今の人も全く同じ人間だったってわけ。それを知っただけでもこの映画は歴史的価値があると思った。
それにしても面白い作品が集まったものだ。「レストランの銃士」というエピソードは、独特のユーモアとエロスが融合した、見事としか言い様がない艶笑劇になっている。また、最後に収められた「埋められた財宝」も非常に精巧にできたカートゥーンで、裏フィルムにしておくのはもったいない。これは、クラシック映画ファンとして、男として、見て損はないぞ。
原題:The Good Old Naughty Days(古き良き淫らな日々)
製作年:2002年
製作国:フランス
監督:ミシェル・レイヤック
上映時間:69分
「ブルーフィルム」DVD
※この映画は18歳未満の方は観賞できません。