恐竜100万年 (B級映画ラボ)

ラクウェル・ウェルチの肉体美に酔いしれよ
 僕は色々な映画を見てきたけど、これは異色だった。今まで見てきたようで、見たことの無かったタイプの映画である。この邦題は名タイトル。語呂のかっこよさ。でも恐竜ばかり出てくる映画ではない。監督は「アルゴ探検隊の大冒険」のドン・チャフィー。これはいわゆる原始人もの・石器人ものにあたるジャンルの極めつけではないか。アニメやコントなどで幾度となく見てきたジャンルであるが、れっきとした映画作品はなかなかなく、これは珍しい映画といえる。「ウホウホ」としか喋らない野蛮人。なぜか片方の肩が丸出しの鬼みたいな男性服。そして岩だらけの世界。活火山というアイコン。これぞまさに原始人もののエッセンス。ところがこれがコメディではなく、大まじめなスペクタクル。恐竜の映像も大まじめ。ただ戦いばかりを描いた内容は、今から見ると少し吹き出してしまうところもあるが、作る方は大まじめだ。だからレイ・ハリーハウゼンの恐竜もかなりの迫力があるし、トカゲの映像をただ合成させる豪快な演出も功を奏している。火山が噴火して、大地震が起こり、地面が急速隆起したり、見せ場はかなりシリアス。部族間同士の争いなど、鬼気迫るものさえある。
 しかし、してやったりはラクウェル・ウェルチである。おそらく色気を演出するメイクはつけまつげぐらいなもの。ほとんどすっぴん。口紅もつけてないのに、そのパーフェクト・ボディの曲線美だけで観客を虜にする。あの巨乳に、あの細いウエスト。大きなヒップ。すらりとした脚。これが真っ白ではなく、小麦色に焼けていて、惜しげもなく延々半裸のままで、健康的な女性の肉体を見せつける。原始人だから半裸でもちっともエロくないのだ。これがだんだん恐竜に襲われるや、部族間争いなどで、しだいに肌が土で汚されていく。不思議なことに汚れてもそれがかえって魅力的に見えてきたり。ラクウェル・ウェルチはこの1本だけで一躍トップスターとなった。
 




製作年:1966年・アメリカ・20世紀フォックス
原題:One Million Years B.C.
監督:ドン・チャフィー
視覚効果:レイ・ハリーハウゼン
出演:ラクウェル・ウェルチ、ジョン・リチャードソン
上映時間:91分
「恐竜100万年」DVD


恐竜の死闘
「ロスト・ワールド」(25年/アメリカ)
「恐竜・怪鳥の伝説」(77年/日本)
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