100年前のクラシック映画から映画史を読み解く


演技は嘘っぱち (コラム)

演技は嘘っぱち

 先週テレビで面白いことをやっていた。「アッコにおまかせ!」というTBSの番組の中であった「芸能人リアクションクイズ」という企画である。芸能人の誰かにイタズラをして、その人がどの様なリアクションを見せたのかを、3つのVTRの中から当てるクイズである。VTRはすべてイタズラされた本人を写したものだが、その内1つだけがありのままの映像で、他の2つはあたかも本人がそれらしく見せている嘘の映像だ。言い換えると、1つだけがドキュメンタリー、他の2つは芝居である。

 このクイズを見て、ふと僕は重大なことに気付いた。
 演技は嘘だということである。
 3つの映像の中でも、ありのままの映像だけは微妙に他の映像と違っていた。他の映像はありのままの映像と比べて、何となく作り物ぽい雰囲気があった。だから僕にはどれが正解のVTRなのか推測できた。やはり演技は演技、嘘は嘘だとわかるのである。

 僕は数年前、「演技とわからせない演技」がうまい演技だというおかしな考えを持っていたことがあったが、それは間違いだった。しょせんドラマは作り物、嘘のストーリーを形にしたものだ。ドキュメンタリーじゃあるまいし、ドラマに出てる役者がどっから見ても役者にしか見えないのは、考えてみれば当たり前ではないか。

 近頃は、「個性のある演技」、「芸のある演技」をする人こそ、名演技者だと考えている。シェイクスピア役者は、演技とわからせる演技をして、観客を楽しませる。映画俳優も同じことだ。演技というものは、嘘だからこそ、いくらでも飾れるのである。

 役者は、喋るのが遅いし、うつろな目をするし、息づかいがオーバーだし、突然ニタリと笑ったりする。あんな不自然な動作をする人が実世界にいたら気持ち悪すぎるだろう。でも、あの気持ち悪さは、本当は役者なりの個性の表れだったのである。決して「演技とわからせない演技」の方がいいというわけではないのだ。

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