100年前のクラシック映画から映画史を読み解く


盗作してもいいんじゃない? (コラム)

 

 この前「キャスト・アウェイ」を見て、僕はとても感動したんだけど、どうやらちまたでは「キャスト・アウェイ」の評判はあまりよくないらしい。どうしてだろう。
 理由は「ありがちな映画だから」であった。いったいあの映画のどこがありがちなのだろうか。僕としては珍しい映画だと思ったが。どちらにしろ、あれが何かの真似事だったとしても、面白いことには変わりはないと思うし、真似だからといって低く評価する気は僕にはない。
 ジョージ・ハリソンの「マイ・スイート・ロード」は盗作であったが、ロック・ヒストリーに残る名曲であることには変わりはない。黒澤明の「乱」は「リア王」を下敷きにしていたが、世界で絶賛された。「真似」という表現は響きは悪いかもしれないが、決して悪いことではないのだ。

 続編もの(続編もいってみれば真似事だ)が売れるのは、人がもう一度同じような体験をしたいからである。「ドラキュラ」を見て感動した人が、次の日に「フランケンシュタイン」を借りてしまうのは、もう一度同じ様な感動を味わいたいからである。つまり、面白ければ真似でも受け入れてもらえるのだ。

 ここのところ、プロにせよアマにせよクエンティン・タランティーノを参考にしている映画監督が多い気がするが、パクっていい映画を撮れるのなら、いくらでもパクって欲しい。ヒッチコック、キャプラ、フェリーニのスタイルもどんどんパクって欲しいし。
 古典を参考にすることは、勉強する上でも大切だと思う。ピカソ、ダリのような偉大な画家だって、かつては名画を模写して腕をあげていたのだし。むしろ最初から自分オリジナルの作品を作ろうとする人の方が少ないのではないか。

 「ライオン・キング」が一度問題になった。「ハムレット」のライオン版であるこのアニメは、手塚治虫の「ジャングル大帝」の盗作だと言われた。ディズニーのスタッフが果たして「ジャングル大帝」を見ていたかどうかは知らないが、もし見てなかったとしたら、これは悲劇じゃないか?
 この世にネタ切れはないとはいっても、映画はごまんとあるし、小説も漫画もごまんとあるし、テレビ番組もごまんとあるんだから、自分がオリジナルのつもりで書いたストーリーでも、前に似たようなものがあって不思議はないような気もする。

 ブライアン・デ・パルマは真似ばかりだけど(オマージュというべきか)、ワクワクするからそれでいい。「ドラえもん」はマンネリだけど、面白いからそれでいい。西部劇は、いつも期待通りの展開だけど、それを楽しみにしているのだからそれでいい。
 独自性を出すことも大事だが、真似してでも面白い映画を作るというのも悪くはないかもしれない。僕はそういう職人たちも大好きだ。

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