100年前のクラシック映画から映画史を読み解く


梅崎監督「楓牙」についてのあれこれ (コラム)

 

 うちの掲示板にもちょくちょく遊びに来ている梅崎さんの作った映画「楓牙」(ふうが)をやっと見ることができた。8ミリで撮ったモノクロ106分の長編で、キリンアートアワード2000ではグランプリを受賞、「たけしの誰でもピカソ」でも大絶賛された作品である。

 この作品との出会いは衝撃的だった。こんなに素晴らしい映画がタダで見られた僕はとてもラッキーである。お金を払ってメジャー映画を見るのが馬鹿らしくなってきた。それほどハマったのである。
 梅崎さんはスゴイ。とにかく演出が凝っている。これが下手な凝り方ではなくて、撮影も編集もかなり細部までこだわっていて、古典的で、映画テクニックの醍醐味といえるようなシーンが次から次へとダイナミックに飛び出してくる。ストーリーは別段珍しくはないのだが、キャラクターに個性があり、とにかく映画的演出で溢れているので、全く飽きることがない。8ミリでモノクロなのに、視覚に奥行き感があるのも素晴らしく、自然を捉えた映像はただただ美しく、エネルギッシュだ。これは相当映画をじっくりと研究しているのだと思える。8ミリの可能性に驚いた。
 しかし、僕が一番感動したのは、何といっても音響だ。足音や風の音など、イタリア映画のような荒々しさで、実に迫力がある。明らかに「作られた音」を思わせるが、ここに感性が表れている。
 この映画は僕が今までに見たインディーズ映画の中でも最も優れた出来映えだった。一場面一場面から何やら凄まじい野心が感じられる作品である。僕は、久しぶりに映画らしい映画を見た気分になった。アマチュアの映画を見たことで、映画というものがどういう芸術なのか、改めて考えさせられた。

 自主映画でもこんなにスゴイ映画があるのに、劇場用映画なんてのは芸術よりも商業に走ったものばかりで、型にはまっていて、つまらんねえ。劇場用映画にはアマチュア映画のような若々しさが足りない。たのむぜ、プロデューサーたちよ!

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