100年前のクラシック映画から映画史を読み解く


古典映画についてのあれこれ (コラム)

 

 僕は、よく「古い映画が好きなんだね」と言われる。まあそれも悪くはない。
 でも、「君の見る映画は古い奴ばかりだね」という風に言われるのは、ちょっとムッとしてしまう。こう言われてムッとした経験のある映画マニアは、うちのサイトのファンかもしれない。

 僕は確かに古い映画を山ほど見ている。でも、古い映画の方が好きというわけではないし、古い映画ばかりを見ているというわけでもない。新しい映画も古い映画も同じくらい見ているし、新しい映画も古い映画も大好きだ。それなのに、周りの人は、僕が古い映画を中心に見ていると受け取ってしまうのだ。

 その理由は、つまり、そう言う人が、単に古い映画を見ていないだけなのではないか、と僕は思っているのだが・・・。

 僕は映画黎明期から今の作品まで、まんべんなく見ているつもりだ。商業映画も非商業映画も沢山見た。40年代も50年代も60年代も70年代も80年代も90年代も、それぞれ僕は同じくらい本数を見ている。大昔から駄作はあったのだし、その年その年の名作の数も、今も昔も変わらない。
 昔の映画が「名作」で、今の映画がそうでないというおかしな公式ができてしまったのは、昔の映画が名作しかビデオ化されていないことがひとつの原因だが、それ以上に、昔の映画の方が歴史が長いということが大きな理由だろう。「昔の映画」なんて客観的に言えば最近の映画以外は全部そうなってしまうのだから、ここ数年間に発表された「最近の映画」とは本数が比べ物にならないし、「昔の映画」に沢山の名作があって当然なのである。

 僕は、どれかの年代だけを特別に贔屓しているというわけではない。
 つまり僕が言いたいのは、僕は映画を偏りなく見ているのであって、決して古い映画を中心に見ているのではないということ。むしろ僕の趣味を古典だけと決めつけた人たちの方が、趣味が偏っているのではないか?
 決してクラシック映画を放送しようとしないテレビ局には、そんな人しかいないみたいだね。

 話は変わるが、90年代の作品だけを最近の作品として、70・80年代以前の作品を古い映画としてしまうのは、ちょっと抵抗がある。
 映画に余り興味のない人の場合、80年代の映画でも「かなり古い作品」と言ってしまうことがあるから困ったものだ。僕にとっては、たとえ60年代の映画でも古いとは思っていない。むしろ新しい方だと思っている。

 もし、80・90年代以降の映画しか知らないのなら、ぜひ50年代以前の映画にも触れてもらいたい。
 「映画が好き」という人は周りを見回せば山ほどいるけど、そういう人の大半は、裏切ったように、今時の映画しか知らない。メディア業界が古い映画の情報に疎いからだろう。本当に映画が好きなら、古い映画も今時の映画と同じくらい好きなはずではないか? 今時の映画しか見ないのなら、「映画が好き」とは言わずに、「今時の映画が好き」といって欲しいものだ。

 某雑誌で映画ベスト・テンなる企画をやっていたが、どうも研究が浅かった。それを書いたライターは、恐らく80年代の作品を古いと言う一派なのだろう。「市民ケーン」の解説を読んでみても、何もわかっていない感じがした。古典を知らないライターに映画解説を任せていいのか?

 長くなってしまったので、最後に言うが、ぜひ皆さんにも、本当に古い映画を見てもらいたい。フォードを見るもよし。エイゼンシュタインを見るもよし。とにかく古典を何か一本でも鑑賞してほしい。無理を言えば、総合的映画マニアになってもらいたい。
 「映画が一番」と言う人にチャップリンを薦めているのに、その人はまだ見ようともしないが、興味がないのだろうか。興味がない人たちは、これからも「今時の映画ファン」と思われるままでいいと思っているのか?

 スマンです。お約束の暴走コラムでした。次回は穏やかに行こうと思っています。

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