兜王ビートル (シネマガプレス)

大真面目にふざけた映画の登場
 最近子供たちの間でムシキングなるゲームが大ブームというが、そのブームに便乗して、ムシキングとはまったく関係のない、飛んで火にいるバカムービーが現れた。昆虫たちの壮絶なる?バトルを描いた「兜王ビートル」(カブトムシ・キング!)である。兜王ビートルというプロレスラーは実際にいるわけで、これは本人をそのまま主演にして映画を作ってしまった企画モノになるわけである。これを見て思うことは、監督はきっとプロレスの大ファンに違いないということだ。その「好き」という感じが全編から伝わってくる。
 悪役が単なる着ぐるみというそのローテクぶりに大感動。今時この不況の世の中でもここまでローテクな敵キャラなんて滅多に見られないぞ。しかもゴキブリ、カマキリ、クモという、部屋の中で見たらイヤになる虫ばかり。この何たる悪趣味ぶり! そして、次に何が起こるかわからない「なんでもあり」という無茶なスタンス。たまりませんなー。
 出演者が何やら豪華で、ビル・ロビンソンも出てきて英語で日本人と会話してるし(フィクションだから言語なんて関係ないのだ)、その他、獣神サンダーライガーや電撃ネットワークの南部虎禅(どうもアドリブっぽい)などが友情出演している。ハチャメチャな内容にして、この顔ぶれでますますハチャメチャ度アップ!!
 本作の面白さは、そのくだらなさ、その一言に尽きる。あまりにもばかばかしくて、そこがたまらなく愛くるしく見えてくるわけで、英断といえるほど、ほんと、よくぞ作ってくれましたといいたくなる貴重な貴重な映画。天然ボケ系少女趣味のヒロインも、いかにもなベレー帽をかぶって、目がクリクリしてて、無駄に可愛らしすぎるキャラで、B級ぶりを盛り上げます。
 主人公はカブトムシで、そのライバルがクワガタというところも笑える。クワガタはカブトムシに比べると二流であることが、クワガタの慢性コンプレックスになっていて、それでも「クワガタの方がデパートではカブトムシよりも高いし、かっこいいではないか」とか「今ハヤリのダークヒーローなんだぞ」とかいっちゃって、脇役なのに背伸びして主役を気取っている様がおかしい。
 女モンスターも凄いコスチュームだ。なんと蝶々である。永井豪漫画ばりかと思いきや、実はデザインは永井豪氏本人によるものでした。永井豪氏が絡んだ映画はどれもカルト的な映画が多いが、さすがは「兜王ビートル」。一筋縄では終わらない珍作である。
 普通の映画はもう飽きたというあなたに送るエクスペリエンス、ここに登場ってか!


「兜王ビートル」
2005年・日本映画・70分
監督:河崎実
出演:兜王ビートル/斎藤工/中川翔子/大原かおり/堀内正美/スペル・デルフィン
原作:永井豪
プロデューサー:安斎レオ/河崎実/杉本亮/山田宏幸/阿部祐督
脚本:中野貴雄
撮影:長野泰隆(J.S.C)
歌:サイキックラバー 主題歌「いざ行け!ビートル」/エンディングテーマ「I Believe」(コロムビアミュージックエンタテインメント)
配給:IMAGICA/ツイン
http://www.kabuto-o.com/

プロローグ(プレスより)
突如、大阪に現れた昆虫怪人軍団・外宇宙軍。「この星を支配するのは、我々だ!」と、人々を血祭りにあげていく。その場に居合わせた女性記者・星川百合はその事件に巻き込まれ、ゴキブリの姿をしたゴキアブラーにえり首をつかまれ逃げることができなくなる。そんな絶体絶命の彼女の前に救世主が舞い降りた!その名は「兜王ビートル」!


夏休み!
飛んで火にいるロードショー!!
(7/16渋谷シネ・ラセットほか)

オリジナルページを表示する