映画翻訳家を目指す人のためのセミナー (シネマガプレス)
配給会社・映画製作スタッフと楽しくおしゃべり
映画翻訳家を目指す人のためのセミナー
DHC総合教育研究所
2005年3月、DHC主催で、とあるセミナーが開催されました。それは映画翻訳家を目指す人たちに、少しでも映画製作・映画宣伝の現場の雰囲気を知っていただこうということで企画されたもので、講師(というかゲスト)にはプロの映画スタッフの方々が招かれました。セミナー料は無料ということで、さっそく小耳に挟んだ僕は、スクープいただき!と、取材に行って来ました。これが、翻訳とは関係のない話で大盛り上がり。とても有意義なセミナーでした。
セミナーの結論はシンプルでした。翻訳家になりたかったらDHCの英語講座を受けてください(笑)。
DHCさんって化粧品だけの会社だと僕は思ってたんですけど、こういう教育事業もやってたんですねえ。翻訳家を目指す方、DHCさんの英語講座は映画を教材に使ってるので、ぜひチェックですよ。
東宝東和株式会社アド宣伝制作プロデューサー
松田和博さん
最近はウェブが発達したせいでアドで嘘がつけなくなりましたよ。
最初のゲストは東宝東和アド担当の松田さんです。松田さんはこの仕事を始めて一筋26年の大ベテランです。最初の採用試験は「ミスター・ブー」の中国語版を見て、その感想を書くことだったそうですから、時代を感じさせますね。松田さんからは宣伝の苦労話を語っていただきました。
「ランボー」(*1)のキャッチコピーは<15万のソ連軍最強師団の中へ!>というものだったのですが、よくよく考えてみたらソ連軍が15万もいるわけはなく、東宝東和さんなりのオーバーな表現だったのですね。でももしこれが<大勢のソ連軍>だったらヒットはなかっただろうと松田さんは語ります。また、「ランボー」のポスターではヘリコプターの写真を切り貼りして、より派手な戦場をイメージさせるように演出して見せたのだそうです。
松田さんが担当した「シックス・センス」(*2)のポスターは、日本独自のものです。海外のポスターにはブルース・ウィリスが写っていませんが、日本のポスターにはブルース・ウィリスとオスメント少年の2人が写っています。あえてこうしたのは松田さんの作戦で、こうすることでラストシーンの驚きを更に強調させようと考えたのでした。これは大成功で、日本ではその年一番の話題作になりました。
松田さんの失敗談は、ポスターの下に印刷する映画館の電話番号を間違えたことでした。たしかに、電話番号を間違えるなんて、大変な失敗ですよね。普段僕らは何も考えずにポスターを見ているわけですが、作る人の苦労なんて何も知りもしません。本当はポスターひとつでも相当な時間と労力がかかっているんですよ。
松田さんは、最近はウェブが発達したせいで、海の向こうの情報が日本でも入るようになって、アドがやりにくくなったと言っています。つまり、「ランボー」の時のように嘘がつけなくなったわけですね。
昔は映画のタイトルはアドの人が決めていたのですが、現在は10個候補をあげて、プロデューサーにそのうちの一つを選んでもらっているのだそうです。
映画の買い付けのことについてもお話していただきました。フランス語や中国語の映画を字幕無しで見なくちゃいけないし、時には映像すら見ずにシノプシスを見ただけで決めることもあるそうです。99人がダメといって、1人がいいといった作品が当たったりすることもあるので、買い付けはいわばギャンブルみたいなものだそうです。
日本スカイウェイ宣伝部プロデューサー
宮田生哉さん
良いポスターは盗まれるって言われますよね。
ぜひ盗んでいただきたい!
続いてのゲストはNSW(日本スカイウェイ)の宮田さんです。宮田さんはマルチに活躍する人で、買い付けから、宣伝、テレビの営業、DVD制作その他、何もかもやっています。実は現在の韓流(はんりゅう)ブームの仕掛け人でもあるのですが、宮田さんは照れくさそうに「NHK様々です」と一言。
NSWさんは作品セレクトがかなりオシャレです。チェコの有名なアニメーション作家カレル・ゼマンの「悪魔の発明」(*3)と「ほら男爵の冒険」を上映したときには、アートアニメ・ファンが狂喜しました。その他、いまだ信者の多いジェーン・バーキンの「ワンダーウォール」など、マニア心をくすぐる作品ばかりです。
宮田さんは沢山のポスターを持ってきて会場の皆さんに見せてくれました。ジャン・リュック・ゴダールの「カラビニエ」(*4)のポスターなど、どれも日本人のセンスとは思えないほどデザインが洗練されています。宮田さんも自社オリジナルのポスター・デザインに自信を持っていました。宮田さんは「良いポスターは盗まれると言われますよね」といった後「ぜひ盗んでいただきたい」と親父ギャグを連発し、会場がやんわりとした雰囲気になりました。
翻訳ではどうしてもオリジナルよりも面白いものはできない。一番大切なのは日本語がちゃんとできること。セリフの少ない映画は楽かと思われるけれども、短い中で訳す難しさがある。と、翻訳についての意見もありました。
宮田さんの趣味は原題と邦題を比べることだそうです(笑)。宮田さんのお気に入りは「愛は霧のかなたに」。「愛は何々の何々」の型ですが、さすがにこれは「霧の中のゴリラ」とはいかなかったみたいです。最近は英語をそのままカタカナで表記したタイトルが多いですが、これは日本語で下手にタイトルをつけてしまうと非難の的になるためにカタカナにしているのではないでしょうか。
僕がここで驚いたのは、「氷の微笑」の原題を知っていますか?と襟川さんが会場の皆さんに質問したところ、大勢の人が"BASIC INSTINCT"(基本的本能)とすぐに答えたことです。皆さんお詳しい!
「風の絨毯」エグゼクティブ・プロデューサー
益田祐美子さん
私は素人でしたが、素人には素人なりの強みがあるんです。
最後のゲストはイランと日本の合作映画「風の絨毯」(*5)のエグゼクティブ・プロデューサー益田祐美子さんです。まず益田さんが出てきて、そのあまりの美しさにびっくりしちゃいましたよ。こんなに肌の綺麗な人がプロデューサーをやられてるんですね。でも結婚して子供もいるので男性諸君残念でした。
益田さんは以前ウチの特別企画でも取り上げた本「私、映画のために1億5千万円集めました。」の著者でもあります。今回のセミナーでは、その本に書かれていない映画製作の裏話をとくと語っていただきました。本自体もすごく面白かったし、映画「風の絨毯」も僕の大好きな映画なのですが、益田さんの話も奥が深かったです。
プロデューサーに必要なものは、お金を集め、人を集め、契約をすることです。益田さんは映画のことはまったく知らない素人でしたが、日本とイランを奔走(ほんそう)し、最終的に1億5千万円を集めました。それまでに沢山の苦労がありました。何度も危機に直面しましたが、映画作りは多くの人を巻き込むものなので、責任は重大で、途中でやめるなんてことは絶対にできません。
益田さんは、素人なら素人なりの強みがあると語ります。失敗したことは、契約書を読まなかったこと。分厚い契約書は全部英語で書かれていたのです。これを読まずに契約したばかりに、売上の全てがイラン側に行くことになってしまいました。そのせいで資金集めも難航。益田さんは家も売ってしまったし、もう売るものは何もありません。体を売るわけにもいかないし、どうしようと悩みました。益田さんは、もう一度イラン側と契約をやり直すため、まずは泣きました。女の武器は涙です。そして素人としての最大の強みが、ついに行動に表れます。契約書をイラン側の目の前で破ったのです。すったもんだのあげく、配給がソニーに決まったことで、イラン側も「ソニー」の名に目を丸くして、撮影は無事に終了しました。
益田さんの話を聞いてから「風の絨毯」を見直すと、また違った感動があります。映画を作ることって、大変なことなんだなぁと、僕はため息がでちゃいました。
益田さんは、「1作目よりも2作目が大事」ともおっしゃった。ほんと、その意見には大賛成です。そんな益田さんの第2作目はドキュメンタリー映画だそうです。
襟川クロさんのお話
セミナーの司会・進行役を務めたのは映画パーソナリティの襟川クロさんでした。スターのインタビューに関しては業界一の実力者です。「自分は映画評論家とは違うので、自分の好きな映画だけしか見ない」と言っていました。あくまで自然体で、観客の立場で映画を見ることにプライドを持っているところが良いですよね。
ところで、襟川さんは原因不明で左の耳が聞こえなくなったそうです。これは、仕事だからということで、興味のない映画を毎日見ているうちに頭が変になったのが原因なのだと自嘲気味に言っていました。その日以来見たくない映画は無理してまで最後まで見る必要もないと開き直ったそうです。映画がつまらなくて途中で見る気が失せたら、そこから音声だけ聞いて英語のリスニングの勉強でもやってみるのも一興とのことです。
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(*1)「ランボー3 怒りのアフガン」
「ロッキー」と並び称されるスタローンの代表作シリーズ。「ランボー」というタイトルは元々は東宝東和さんが付けたものだったのですが(これは「乱暴」のダブルミーニングとか?)、アメリカもこれを真似して続編のタイトルを「ランボー」としたのです。DVDはこちら
(*2)「シックス・センス」
インド出身監督M・ナイト・シャマランの衝撃の出世作。アッと驚く結末で口コミで話題を呼び、その年一番の人気を博しました。主演のハーレイ・ジョエル・オスメント少年も売れっ子スターになりました。DVDはこちら
(*3)「悪魔の発明」
チェコの有名なアニメーション作家カレル・ゼマンの代表作です。まるで小説の挿絵(さしえ)のようなイラストレーションに写真をコラージュした奇抜な映像が見どころです。このセンスあるポスターをデザインしたのも日本スカイウェイさんです。
(*4)「カラビニエ」
戦争に対する寓話。ミケランジェロやユリシーズなど役の名前が印象的なジャン・リュック・ゴダールの初期傑作品です。こちらも日本スカイウェイさんデザインのポスターになります。デザインにお金をかけている感じがしますね。DVDはこちら
(*5)「風の絨毯」
日本とイランの合作映画。シンプルなストーリーで描かれたヒューマンドラマですが、イランの監督の手にかかると、こうもユーモラスで温かい詩情味あふれる映画になっちゃうんですねえ。女の子役の柳生美結ちゃんがすごく可愛いです。DVDの特典映像の中に益田さんの姿を見ることができます。DVDはこちら
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翻訳家・岡山徹さん
セミナーの後、いよいよ本物の映画字幕翻訳家・岡山徹さんが登場です! 『DHC完全字幕シリーズ』字幕監修者でもある岡山さんは、DHCの英語講座の魅力を紹介した後、「翻訳するときは、仕事中にビデオが壊れたときのことも考えてあらかじめカセットテープに音声だけ録音しておくといい」ともっともなアドバイスをいただきました。なるほど!
映画翻訳家を目指す人のためのセミナー
DHC総合教育研究所
2005年3月、DHC主催で、とあるセミナーが開催されました。それは映画翻訳家を目指す人たちに、少しでも映画製作・映画宣伝の現場の雰囲気を知っていただこうということで企画されたもので、講師(というかゲスト)にはプロの映画スタッフの方々が招かれました。セミナー料は無料ということで、さっそく小耳に挟んだ僕は、スクープいただき!と、取材に行って来ました。これが、翻訳とは関係のない話で大盛り上がり。とても有意義なセミナーでした。
セミナーの結論はシンプルでした。翻訳家になりたかったらDHCの英語講座を受けてください(笑)。
DHCさんって化粧品だけの会社だと僕は思ってたんですけど、こういう教育事業もやってたんですねえ。翻訳家を目指す方、DHCさんの英語講座は映画を教材に使ってるので、ぜひチェックですよ。
東宝東和株式会社アド宣伝制作プロデューサー
松田和博さん
最近はウェブが発達したせいでアドで嘘がつけなくなりましたよ。
最初のゲストは東宝東和アド担当の松田さんです。松田さんはこの仕事を始めて一筋26年の大ベテランです。最初の採用試験は「ミスター・ブー」の中国語版を見て、その感想を書くことだったそうですから、時代を感じさせますね。松田さんからは宣伝の苦労話を語っていただきました。
「ランボー」(*1)のキャッチコピーは<15万のソ連軍最強師団の中へ!>というものだったのですが、よくよく考えてみたらソ連軍が15万もいるわけはなく、東宝東和さんなりのオーバーな表現だったのですね。でももしこれが<大勢のソ連軍>だったらヒットはなかっただろうと松田さんは語ります。また、「ランボー」のポスターではヘリコプターの写真を切り貼りして、より派手な戦場をイメージさせるように演出して見せたのだそうです。
松田さんが担当した「シックス・センス」(*2)のポスターは、日本独自のものです。海外のポスターにはブルース・ウィリスが写っていませんが、日本のポスターにはブルース・ウィリスとオスメント少年の2人が写っています。あえてこうしたのは松田さんの作戦で、こうすることでラストシーンの驚きを更に強調させようと考えたのでした。これは大成功で、日本ではその年一番の話題作になりました。
松田さんの失敗談は、ポスターの下に印刷する映画館の電話番号を間違えたことでした。たしかに、電話番号を間違えるなんて、大変な失敗ですよね。普段僕らは何も考えずにポスターを見ているわけですが、作る人の苦労なんて何も知りもしません。本当はポスターひとつでも相当な時間と労力がかかっているんですよ。
松田さんは、最近はウェブが発達したせいで、海の向こうの情報が日本でも入るようになって、アドがやりにくくなったと言っています。つまり、「ランボー」の時のように嘘がつけなくなったわけですね。
昔は映画のタイトルはアドの人が決めていたのですが、現在は10個候補をあげて、プロデューサーにそのうちの一つを選んでもらっているのだそうです。
映画の買い付けのことについてもお話していただきました。フランス語や中国語の映画を字幕無しで見なくちゃいけないし、時には映像すら見ずにシノプシスを見ただけで決めることもあるそうです。99人がダメといって、1人がいいといった作品が当たったりすることもあるので、買い付けはいわばギャンブルみたいなものだそうです。
日本スカイウェイ宣伝部プロデューサー
宮田生哉さん
良いポスターは盗まれるって言われますよね。
ぜひ盗んでいただきたい!
続いてのゲストはNSW(日本スカイウェイ)の宮田さんです。宮田さんはマルチに活躍する人で、買い付けから、宣伝、テレビの営業、DVD制作その他、何もかもやっています。実は現在の韓流(はんりゅう)ブームの仕掛け人でもあるのですが、宮田さんは照れくさそうに「NHK様々です」と一言。
NSWさんは作品セレクトがかなりオシャレです。チェコの有名なアニメーション作家カレル・ゼマンの「悪魔の発明」(*3)と「ほら男爵の冒険」を上映したときには、アートアニメ・ファンが狂喜しました。その他、いまだ信者の多いジェーン・バーキンの「ワンダーウォール」など、マニア心をくすぐる作品ばかりです。
宮田さんは沢山のポスターを持ってきて会場の皆さんに見せてくれました。ジャン・リュック・ゴダールの「カラビニエ」(*4)のポスターなど、どれも日本人のセンスとは思えないほどデザインが洗練されています。宮田さんも自社オリジナルのポスター・デザインに自信を持っていました。宮田さんは「良いポスターは盗まれると言われますよね」といった後「ぜひ盗んでいただきたい」と親父ギャグを連発し、会場がやんわりとした雰囲気になりました。
翻訳ではどうしてもオリジナルよりも面白いものはできない。一番大切なのは日本語がちゃんとできること。セリフの少ない映画は楽かと思われるけれども、短い中で訳す難しさがある。と、翻訳についての意見もありました。
宮田さんの趣味は原題と邦題を比べることだそうです(笑)。宮田さんのお気に入りは「愛は霧のかなたに」。「愛は何々の何々」の型ですが、さすがにこれは「霧の中のゴリラ」とはいかなかったみたいです。最近は英語をそのままカタカナで表記したタイトルが多いですが、これは日本語で下手にタイトルをつけてしまうと非難の的になるためにカタカナにしているのではないでしょうか。
僕がここで驚いたのは、「氷の微笑」の原題を知っていますか?と襟川さんが会場の皆さんに質問したところ、大勢の人が"BASIC INSTINCT"(基本的本能)とすぐに答えたことです。皆さんお詳しい!
「風の絨毯」エグゼクティブ・プロデューサー
益田祐美子さん
私は素人でしたが、素人には素人なりの強みがあるんです。
最後のゲストはイランと日本の合作映画「風の絨毯」(*5)のエグゼクティブ・プロデューサー益田祐美子さんです。まず益田さんが出てきて、そのあまりの美しさにびっくりしちゃいましたよ。こんなに肌の綺麗な人がプロデューサーをやられてるんですね。でも結婚して子供もいるので男性諸君残念でした。
益田さんは以前ウチの特別企画でも取り上げた本「私、映画のために1億5千万円集めました。」の著者でもあります。今回のセミナーでは、その本に書かれていない映画製作の裏話をとくと語っていただきました。本自体もすごく面白かったし、映画「風の絨毯」も僕の大好きな映画なのですが、益田さんの話も奥が深かったです。
プロデューサーに必要なものは、お金を集め、人を集め、契約をすることです。益田さんは映画のことはまったく知らない素人でしたが、日本とイランを奔走(ほんそう)し、最終的に1億5千万円を集めました。それまでに沢山の苦労がありました。何度も危機に直面しましたが、映画作りは多くの人を巻き込むものなので、責任は重大で、途中でやめるなんてことは絶対にできません。
益田さんは、素人なら素人なりの強みがあると語ります。失敗したことは、契約書を読まなかったこと。分厚い契約書は全部英語で書かれていたのです。これを読まずに契約したばかりに、売上の全てがイラン側に行くことになってしまいました。そのせいで資金集めも難航。益田さんは家も売ってしまったし、もう売るものは何もありません。体を売るわけにもいかないし、どうしようと悩みました。益田さんは、もう一度イラン側と契約をやり直すため、まずは泣きました。女の武器は涙です。そして素人としての最大の強みが、ついに行動に表れます。契約書をイラン側の目の前で破ったのです。すったもんだのあげく、配給がソニーに決まったことで、イラン側も「ソニー」の名に目を丸くして、撮影は無事に終了しました。
益田さんの話を聞いてから「風の絨毯」を見直すと、また違った感動があります。映画を作ることって、大変なことなんだなぁと、僕はため息がでちゃいました。
益田さんは、「1作目よりも2作目が大事」ともおっしゃった。ほんと、その意見には大賛成です。そんな益田さんの第2作目はドキュメンタリー映画だそうです。
襟川クロさんのお話
セミナーの司会・進行役を務めたのは映画パーソナリティの襟川クロさんでした。スターのインタビューに関しては業界一の実力者です。「自分は映画評論家とは違うので、自分の好きな映画だけしか見ない」と言っていました。あくまで自然体で、観客の立場で映画を見ることにプライドを持っているところが良いですよね。
ところで、襟川さんは原因不明で左の耳が聞こえなくなったそうです。これは、仕事だからということで、興味のない映画を毎日見ているうちに頭が変になったのが原因なのだと自嘲気味に言っていました。その日以来見たくない映画は無理してまで最後まで見る必要もないと開き直ったそうです。映画がつまらなくて途中で見る気が失せたら、そこから音声だけ聞いて英語のリスニングの勉強でもやってみるのも一興とのことです。
・・・・・・・・・・・・
(*1)「ランボー3 怒りのアフガン」
「ロッキー」と並び称されるスタローンの代表作シリーズ。「ランボー」というタイトルは元々は東宝東和さんが付けたものだったのですが(これは「乱暴」のダブルミーニングとか?)、アメリカもこれを真似して続編のタイトルを「ランボー」としたのです。DVDはこちら
(*2)「シックス・センス」
インド出身監督M・ナイト・シャマランの衝撃の出世作。アッと驚く結末で口コミで話題を呼び、その年一番の人気を博しました。主演のハーレイ・ジョエル・オスメント少年も売れっ子スターになりました。DVDはこちら
(*3)「悪魔の発明」
チェコの有名なアニメーション作家カレル・ゼマンの代表作です。まるで小説の挿絵(さしえ)のようなイラストレーションに写真をコラージュした奇抜な映像が見どころです。このセンスあるポスターをデザインしたのも日本スカイウェイさんです。
(*4)「カラビニエ」
戦争に対する寓話。ミケランジェロやユリシーズなど役の名前が印象的なジャン・リュック・ゴダールの初期傑作品です。こちらも日本スカイウェイさんデザインのポスターになります。デザインにお金をかけている感じがしますね。DVDはこちら
(*5)「風の絨毯」
日本とイランの合作映画。シンプルなストーリーで描かれたヒューマンドラマですが、イランの監督の手にかかると、こうもユーモラスで温かい詩情味あふれる映画になっちゃうんですねえ。女の子役の柳生美結ちゃんがすごく可愛いです。DVDの特典映像の中に益田さんの姿を見ることができます。DVDはこちら
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翻訳家・岡山徹さん
セミナーの後、いよいよ本物の映画字幕翻訳家・岡山徹さんが登場です! 『DHC完全字幕シリーズ』字幕監修者でもある岡山さんは、DHCの英語講座の魅力を紹介した後、「翻訳するときは、仕事中にビデオが壊れたときのことも考えてあらかじめカセットテープに音声だけ録音しておくといい」ともっともなアドバイスをいただきました。なるほど!