サマータイムマシン・ブルース (DVD/ガイド)

タイムマシンで無邪気に遊ぶ1日間
青春して、夏の暑さを吹っ飛ばせ!
 若者達の夏の1日間をタイムトラベルを絡めて描いた青春映画。「ぴあ満足度ランキング」など、各誌、各映画サイトで観客満足度ランキング第1位になったこの名作がいよいよDVD化される。かなり低予算でサクッと作ったような印象を受ける映画だが、最後まで目が離せず、低予算でも面白い映画が作れるという良いお手本。監督は「踊る大捜査線」「サトラレ」の本広克行、主演はテレビ版「ウォーター・ボーイズ」の瑛太、ヒロイン役は「スウィングガールズ」やCMで人気急上昇中の上野樹里。子供よりも、むしろ大人にこそ見て欲しいイチオシの一本だ。

 これはタイムトラベル映画だが、やはり青春映画としての比重の方が大きいところが味噌だ。もともとは舞台劇とあって、若手の俳優達がこぢんまりとした部室に集まって会話しながらストーリーが進んでいくシーンがほとんどであるが、役者達の元気ハツラツな演技にグイグイと引き込まれ、見ていて気持ちが良くなってくる。身近にありふれた今時の生きたスラングと流行語がまるでアドリブのように飛び交って、会話に絶妙のテンポがある。会話と会話の間にセミの鳴き声をピンポイントで差し込むあたり、実にうまい。香川県のほのぼのとした町並みと、夏の蒸し暑さもよく表現されているが、たかが壊れたクーラーのリモコンのためだけに一日前にタイムスリップする発想が若々しくて楽しい。タイムマシンを欲のためには使わず、彼らはただ無邪気に遊んでいるだけである。「もしもタイムマシンがあったなら・・・」という if を、この映画は現実的な舞台の上に、夢一杯に描いている。

 もちろん、きちんとタイムパラドックスは描かれているから、後半からかなり面白くなってくる。タイムマシンを、未来を変えるためでなく、未来を変えないための道具として使うあたり、ちょっとしたサスペンス仕立てになっている。2回見てみると、最初の15分間のシーンにも伏線が沢山隠されていることがわかり、見方が全然違ってくるから面白い。

 それにしても、上野樹里が可愛い。ちょっとの出番でもしっかりと見せ、思わず初恋の頃を思い出させる。ただそこにいるだけでも癒される女優だ。



「サマータイムマシン・ブルース コレクターズ・エディション」
ポニーキャニオン
6090円
ディスク枚数 3枚

Disc1:本編、予告編(ティーザー/本予告)、テレビスポット
Disc2:ムービー・コメンタリーin SF研&ロケ地探訪(瑛太、与座嘉秋、川岡大次郎、ムロツヨシによるムービー・コメンタリー/ロケ地探訪)
Disc3:メイキング・ドキュメンタリー集

映像再生品質:B
音声再生品質:A-
特典充実度:A-
コストパフォーマンス:B+

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