クエンティン・タランティーノ特集 (DVD/ガイド)

2005年2月号
「クエンティン・タランティーノ特集」
タランティーノは90年代に突如現れ、瞬く間にスター監督になった人である。かつてはレンタルビデオ店で働く映画オタクだったが、その熱い映画魂がハーベイ・カイテルに認められ、「レザボア・ドッグス」で監督デビュー。既存の音楽を使ったセンスの良さと、バイオレンスたっぷりの演出。マニア魂をくすぐるキャスティングなど、カルト的な名声を博した。


「レザボア・ドッグス」(1992)

ギャングらしいスーツにギャングらしいサングラス。ギャングを犬とし、徹底的にフォルムにこだわったタランティーノ版フィルムノワール。個性的なキャラクターと、小さなアジトを舞台にした巧みな話術は、批評家に絶賛された。いわゆるタランティーノ・マニアに最も人気の高い作品だ。


「パルプ・フィクション」(1994)

カンヌ映画祭でパルムドールを受賞。タランティーノ・ブームの火付け役となった作品。時間と空間をバラバラにした構成と、エピソードごとに主人公が変わる斬新なアイデア、そしてちょっとキレた内容が批評家・観客の両方に受けた。低迷していたジョン・トラボルタ完全復活。ここからタランティーノを好きになったという人も多く、タランティーノの入門篇とも言える。


「ジャッキー・ブラウン」(1997)

タランティーノらしい趣味とコダワリが反映した、タランティーノ流のブラックスプレイテーション・ムービー。タランティーノの尊敬するマニアックなスターも登場し、タランティーノは古い映画の発掘家となったが、そのあまりのマニアックぶりに退いてしまった観客も多い。一部の映画ファンの間では、これが最もマトモな映画だという声もある。


「キル・ビルVol.1」(2003)

長いブランクを置いて製作した作品。タランティーノ映画のミューズ、ユマ・サーマンが復讐のために闘志を燃やしつつ、日本の侍精神にも通じる無敵の女戦士を演じる。B級映画に対するオマージュいっぱいの連続活劇。「Vol.2」はこれと全くスタイルが異なるが、両方見て初めて納得できる内容である。必ず両方チェックすべし。なお、日本では「1」が圧倒的人気で、アメリカでは「2」の方が評価が高い。

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