アンナ・カリーナ (今週のスター)

思うままに行動するフランス女性のイメージ
 コペンハーゲンのナイトクラブで年齢を偽って歌っていたが、シャンソン好きが高じてパリに移住。やがて雑誌のグラビアやCMに出演するようになる。アンナ・カリーナという名前はあの名デザイナー、ココ・シャネルにつけてもらったものだ。
 ジャン・リュック・ゴダールに気に入られてからは彼とコンビを組み、映画女優としてスタート。「女は女である」(61)でベルリン映画祭の女優賞に輝いた。私生活では61年にゴダールと結婚するも、64年に離婚している。それでも仕事上では二人のコンビは続き、アンナ・カリーナはヌーベルバーグ女優として数々の問題作に出演することになる。「女と男のいる舗道」(62)、「気狂いピエロ」(65)、「アルファヴィル」(65)、「メイド・イン・USA」(66)とまあ、なにかとゴダールと共に語られる女優で。ヌーベルバーグの女性像を象徴するような存在だ。自由気ままに思いつくままに行動するフランス女性のイメージはアンナ・カリーナによって確立された。もしかしたらデンマーク出身だから生粋のフランス女性にない個性が出せたのかもしれない。
 僕が一番好きなフランス女優はアンナ・カリーナだと言い切れるのは、ゴダール以外の監督作で彼女の別の側面を発見したからだ。ゴダール映画の彼女は一癖ありすぎるが、他の監督作品では割と万人好みのスタイルで登場したりする。しかしアンナ・フリークにしてみれば、ゴダール映画以外のアンナは少々物足りないのかもしれないな。
 セルジュ・ゲンズブールに歌をもらったミュージカル「アンナ」(67)と、カトリック侮辱といわれて未公開だった「修道女」(66)は、日本では96年にようやく初公開され、そこからにわかにアンナ・カリーナ・ブームが起こった。日本には歌手として来日したりしたが、本人は「歌っていたけれど、歌手であったことはない」と言う。
 以前メルマガにも書いたけど、アンナ・カリーナは写真で見るよりも、動いているところを見るに限る。チボー・ヴァーブルの言葉を借りるまでもなく、彼女は動くことで何かプラスアルファの魅力が発揮されるように思う。本当に良い女優というのはそういうものだ。

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