CDに映画を入れよう (特別企画)

CDに映画を入れよう
CD一枚に2時間の映画が丸一本入るんです!
信じられないかもしれないけど、やればできちゃうんです。
CDなら、かさ張らないし、何かと便利。
自分の撮ったホームムービーをCDに入れて友達にあげるのも素敵だし、
好きなテレビドラマや衛星映画をコレクションするのもまた楽しいですね。
今回の特集では、CD用の映像の作り方を伝授しちゃいます!

1.まずは準備から
必要なものは、テレビ(またはビデオデッキ)、DVカメラ、パソコンの3つです。テレビ(またはビデオデッキ)にIEEE1394(*1)のポートが付いているか、もしくはパソコンにAVポート(*2)が付いているのであればDVカメラは必要ありません。ふつうはDVカメラを仲介役として使い、テレビの映像をDVカメラに表示させて、それをパソコンでキャプチャします。パソコンにIEEE1394ポートもAVポートも付いていない場合は、あらたにビデオキャプチャボードを購入する必要があります。

 パソコンには30GBのハードディスク容量が欲しいところです。30GBあれば普通に取り込んでも軽く2時間以上の映像データが入ります。取り込みながら同時に圧縮を行う方法もあるのですが、ソフトによっては高品質の設定にしすぎると無理がたたってコマ落ちすることがあるので、まずは細かい設定を気にしないで取り込んだ方がいいでしょう。圧縮は後からゆっくりできます。

 映像を取り込むためには、それ用のソフトが必要になります。最近のマルチメディア向けパソコンにはたいてい最初からそれ用のソフト(VAIOならDVgate motion、MacならiMovie)がプリインストールされているので、使ってみましょう。市販のビデオキャプチャボードにもソフトが同梱されていると思います(カノープスならDVRaptor)。
 Macユーザーであれば、映像編集のあらゆる機能を備えたFinalCutPro(*4)を活用しない手はないです。

 取り込んだ画像を軽いファイルフォーマット(MPEG-4形式、QuickTimeMovie形式など)に変換するためのソフトも必要です。
 ここで忘れてならないのが、QuickTimeです。
 QuickTimeはWindowsとMacのプラットフォームに両対応し、デジタルの世界ではもっとも普及している動画再生ソフトです。あらゆるファイルフォーマットを読み込むことができ、コマ落ちも少なく、安定したパフォーマンスを実現します。
 今回CDに入れる映像はQuickTimeを使って作成したいと思います。ただし、QuickTimeの場合、Proバージョン(*5)でなければいけません。

2.映像をキャプチャーする
 まずは素材となる映像をキャプチャーします。試しに適当に放送中のテレビ番組をキャプチャーしてみましょう(*6)。キャプチャー方法は使うソフトウェアによって異なりますので、お使いのソフトの取扱説明書を見てください。キャプチャするフレームレートとサイズが指定できるのであれば、最適な大きさに設定しておくと良いでしょう(今回は15fps(*7)、320×240(*8)に設定します)。

 ソフトウェアによって、キャプチャしたファイルは保存形式が異なります。Windows系のビデオキャプチャソフトはAVI形式で、FinalCutPro、AdobePremiereはQuickTimeMovie形式で、iMovieはDV形式で保存されます。どの形式にせよ、圧縮しないことにはCDに入りません。
 キャプチャ段階で高品質・高圧縮できるのであれば、次の手順は省いてもかまいません。

3.映像ファイルをQuickTimeで圧縮する
 次は、キャプチャした映像を圧縮しますが、その前に、映像を編集してもかまいません。QuickTime単体だけでも簡単なエディット機能を内蔵しています。下写真のように好きな部分だけを範囲指定して書き出したり、フィルタ設定で明るさ・コントラストを変更したり、映像と音声を別ファイルに分けて圧縮・合成したり、タイトルをつけたり、テレビの洋画劇場のCMをカットして書き出したり、ある程度の編集ができます。


 「ファイルのプロパティ」の「マスク」でマスクを設定すれば、ワイド映像の余分な黒い部分を消すことも可能です。

 QuickTimeには、映像フォーマットだけでもシネパック、H.263など様々なコーデック(圧縮形式)がありますが、CD用に適しているのはSorenson(*9)です。ハリウッドでも予告をWeb配信するためにSorensonを使っているので、これを使わないわけにはいきません。

 では実際にQuickTimeから書き出してみましょう。映像ファイルをQuickTimeで開き、メニューの「ファイル」→「書き出し」を選択します。書き出し設定の画面が表示されるので、右枠の「QuickTime書き出し設定例」と同じ設定をし、保存します。かなり時間がかかるので、ぐっすり寝て待ちましょう。

 Macユーザーの方であれば、OSXを使うことをお勧めします。OS9では書き出し中に他の作業ができませんが、OSXはマルチタスク処理能力が格段に上がっているので書き出し中も他の作業ができます。

4.完成
 以上で完了です。できあがった映像を再生してみましょう。



 上写真はテレビをキャプチャーして圧縮した映像の実物大の写真です。いかがでしょうか? フレームレートを落としている場合はたまに画像がダブることがありますが、全体的には悪くない出来栄えでしょう。QuickTimeのフルスクリーン機能を使えば、ディスプレイいっぱいに画面を表示させることができます。

 また、FinalCutProでは、メニューの「ビュー」→「外部ビデオ」で「すべてのフレーム」にチェックを入れてソフト内のビューアで再生すると、テレビ画面に映像を出力することができます。VideoCDほどではないですが、まずまずの画質です(DVカメラによっては滑らかに再生できないことがあります)。
 映像をテレビに出力する機能は、ビデオキャプチャに同梱されているソフトに付いていることがあるので、色々試してみましょう。

 最後は完成したファイルをCDに焼くだけです。
 CDに書き込むためにはCD-R用ドライブと、Easy CD Creator(*14)、ToastなどのCD-R書き込みソフトが必要です。
 ソフトによってはVideoCDを作成できるようにMPEG-1エンコード機能がついているものもありますが、VideoCD形式では最大で74分の映像しか入りません。VideoCDはDVDプレーヤーで再生することができます。今回紹介したQuickTimeMovie形式の映像はVideoCDには対応しておりませんが、圧縮度合いによっては、CD一枚に3本の映画を詰めこむことが可能です。

 


必要なもの
・パソコン(Windows or Mac)
・DVカメラ
・AV出力端子付きのテレビ
・映像取り込みソフト
・QuickTimePro
・CD-Rドライブ
・CD-R書き込みソフト
パソコンの動作環境条件
・IEEE1394のポートがあること
・HDD空き容量2GB以上
・CPU500MHz以上推奨
・メモリ128MB以上推奨
・ディスプレイ65536色以上推奨


(*1)IEEE1394コード
i.LINK、FireWire、DV端子とも言う。ひとつのポートで出入力を兼ねる。


(*2)AVコード
ごく一般的なビデオ接続コード

(*3)MPEG-1
映像ファイルの保存形式のひとつで、ファイル容量が非常に軽く、ビットレート1.5Mbps、サイズ352×240でVTR並の映像が実現。VideoCDの標準規格である。

(*4)
FinalCutPro
アップルコンピュータが開発した映像編集ソフト。ソフト単体でテレビ映像をファイルに取り込む万全の機能を備える。自分で作成した映像をリアルタイムにテレビに出力することも可能。MacOS専用。98,000円。

(*5)QuickTimePro
QuickTimeのProバージョンはアップルのホームページで有料(3,780円)でアップグレードできます。Proバージョンにはデータ圧縮機能の他に、フルスクリーン再生機能などが付きます。
アップグレードはこちら

(*6)テレビからの取り込み
キャプチャソフトによっては、DVテープに録画してある映像でなければキャプチャできないものがあります(iMovieなど)。
F inalCutProでは、メニューの「ファイル」→「ログと取り込み」を選択し、初期設定で「デバイスコントロールを使用する」のチェックを外しておくと、取り込み画面にモニターされているテレビ映像を直接リアルタイムにキャプチャーすることができます。

(*7)フレームレート
一秒間に何コマの映像を書き出すかを設定する。フレームレート(fps)をあげすぎると、映像が汚くなり、フレームレートを落としすぎると(24コマ以下にすると)、映像がダブってしまう。CDの一般的な推奨は15fpsだが、データレートが高くてもいいのならテレビと同じ29.97fpsに設定しても構わない。

(*8)サイズ
320×240はマルチメディア向けの一般的なサイズで、テレビのおよそ4分の1。VideoCDを作るなら352×240で固定だが、今回はとくに気にしない。設定数値は16の倍数が基本、比率は4:3推奨。

(*9)Sorenson
ムービー圧縮技術のひとつ。シネパックに比べ、エンコードにかなりの時間を要すが、圧縮率は非常に高く、Web上のビデオ配信に広く利用されている。QuickTimeにはSorensonVideo2&3の簡易版が内蔵されている。正規版は500ドル前後で購入できる。QuickTime6からはMPEG-4圧縮もできるようになったので、SorensonとMPEG-4どちらを選ぶかは個人の好みによる。

QuickTime書き出し設定例
■ビデオ(120分の映像の場合)
圧縮:Sorenson Video 3
深さ:約1,670万色
品質:最適
フレームレート:15
基準フレーム:128(*10)
データレート:95(*11)
サイズ:幅320×高さ240
■オーディオ
フォーマット:QDesign Music 2
レート:32kHz(*12)
サイズ:16ビット
出力:1(*13)

*上記設定は私が独自に調査した結果に基づいていますので、完全な保証はできません。
(*10)基準フレーム単位
何コマ単位で圧縮するかを設定する。先頭のキーフレームとその後の複数のフレームの相違を決定して圧縮していくので、最適な基準フレーム単位を設定しておかなければコマ落ちしたり、画像にモヤがでてしまう。数値が大きいほど容量は軽くなる。

(*11)データレート
一秒間に何バイトの映像を書き出すかを設定する。データレートを高くするほど画質は綺麗になるが、高くしすぎるとかえってマシンの負担になることもある。アニメなどはデータレートが低くてもそれほど画質は落ちない。データレートを設定していない時は、基準フレーム単位と映像の品質に応じて自動的に設定してくれる(自動設定の方が画質はいいが、予想外のファイルサイズになる)。自分で設定するときは品質設定を「最適」にしておく。CDの容量とテレビ番組の時間を計算して、うまく算出したい。なお、2倍速のCDドライブでは250Kbytes/秒が限界である。

(*12)オーディオレート
QDesignMusic形式では、レートをあげてもあまりファイル容量を食わないので、ぜいたくに設定して構わない。

(*13)オーディオ出力
1はモノラル、2はステレオを意味する。データに負担のかからないモノラルの方が音は良い。ステレオでは音が割れるおそれがある。

(*14)
Easy CD Creator
roxioのCD書き込みソフト。AVI/MPEG-1変換機能搭載。11,800円。
Mac向けにToastという製品もあります。

 


 付録:QuickTime書き出し 最適データレート早見表 (Soernsonコーデック設定例)
番組の放送時間 ~45分 45~60分 60~90分 90~110分 110~130分 130~150分
フレームレート 29.97 24 12~24
12~15

12

12

データレート目安 250K 190K 125K 100K 90K 70K

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