実在の人物を演じた俳優たち (特別企画)

 

企画13
実在の人物を演じた俳優たち

 どうだ! まいったか。30人の偉大な人物の写真(絵)と、その人物を演じた役者の写真を集めてみた。歴史の資料調べて、これだけ写真集めるの、だいぶ苦労したんだぞ。僕はてんで歴史に疎いし、このページだけで制作に何と18時間以上もかけてしまった。かなり疲れた。ふう。
 さ、君もそれぞれの写真を見比べてみよう。強引に似せているところもあるとはいえ、なかなか本物ぽいぞ。髪型はさすがにそのまんまだ。
 実在の人物が登場する映画といえば、伝記ものや歴史ものが面白いんだけど、中には架空のストーリーに実在の人物を登場させる変わり種映画もあるみたいだね。
クレオパトラ(女王)
エリザベス・テーラー
「クレオパトラ」
「私の前世はクレオパトラだった」「タイムマシンがあったらクレオパトラを見たい」「クレオパトラは人類史上最も美しい美女だ」等々、クレオパトラは何かと話題にされてしまう凄い人。彼女を演じる幸運を手に入れたのはリズ・テーラーだが、ところが彼女は撮影中は病気してばかりで、製作費が莫大な額になってしまった。「クレオパトラ」は世界一製作費用のかかった作品である。
イエス(キリスト)
ウィレム・デフォー
「最後の誘惑」
イエス・キリストは色々な俳優たちによって演じられている。最も印象的なのは、やはりウィレム・デフォーのキリストだろう。他のキリスト映画とは一味も二味も違う内容だった。今まで抱いていたキリストのイメージが拭われるドラマチックな展開。十字架を背負って歩くシーンでは、いかにもスコセッシ監督らしい演出が見られる。
シェイクスピア(劇作家)
ジョゼフ・ファインズ
「恋におちたシェイクスピア」
ようやく解き明かされたシェイクスピア像。シェイクスピアといえば悲劇作家の印象が強くなってしまっているが、本当は喜劇ばかりを作っていた作家で、性格も明るい人だった。ジョゼフ・ファインズは恋に熱く燃えるシェイクスピアという知られざる本当のイメージを作り上げた。
モーツァルト(作曲家)
トム・ハルス
「アマデウス」
これまた偉人のイメージを打ち砕いたキャラクターである。古典音楽の偉大なる作曲家モーツァルトは、見た目はアホっぽい青年であった、という意外性。けたたましい声で笑うところなど、何と言っていいのやら。しかしそれでいて天才的なところはのぞかせているのだ。
ナポレオン(皇帝)
アルベール・デュードネ
「ナポレオン」
ナポレオンの人間離れした性格が表れている。この大作は色々の意味で革新的だった。監督したアベル・ガンスは、サイレント時代を代表する鬼才で、クライマックスでは3つのスクリーンを使って上映するという前代未聞の試みに成功している。これに熱をあげたコッポラは、同作をオーケストレーションしてリバイバル公開させた。
ベートーベン(作曲家)
ゲーリー・オールドマン
「不滅の恋」
「バッハは神のために音楽を書いた。モーツァルトは音楽のために音楽を書いた。ベートーベンは人間のために音楽を書いた」の言葉が印象的な映画だった。ゲーリー・オールドマンは人間ベートーベンを熱演。僕らの抱いていたベートーベン像そのものであった。
ゴッホ(画家)
カーク・ダグラス
「炎の人ゴッホ」
ゴッホ役は、カーク・ダグラスのあたり役かもしれない。いやとにかく人間くさい役だった。ゴッホという人物だったのか、この映画を見たらよーくわかる。ゴッホが自分で耳を切ったのは有名な話だが、そこまでの経緯がこの作品ではうまく描かれていた。
ロートレック(画家)
ホセ・フェラー
「赤い風車」
子供の頃事故で足の成長が止まってしまった画家ロートレックの晩年を映画化。ホセ・フェラーがロートレックを見事に演じた。この姿ゆえに女性とは縁が無く、毎晩酒浸り。名匠ジョン・ヒューストンのドラマの構成力には驚くばかり。
ワイアット・アープ(保安官)
ヘンリー・フォンダ
「荒野の決闘」
西部劇にはよく登場する偉人である。ご存じ、賭博師ドク・ホリデイと共にクラントン一家とOK牧場で決闘した保安官だ。バート・ランカスターら多くの役者たちによって演じられてきたが(最近はケビン・コスナーも演じた)、一番いい味を出ていたのはヘンリー・フォンダだ。「荒野の決闘」はメロドラマとしても素晴らしい西部劇の大古典である。
キューリー夫人(物理学者)
グリア・ガースン
「キューリー夫人」
キューリー夫人の半生が映画化されていることは余り知られていないが、実はちゃんとある。グリア・ガースンがキューリーを演じていたのだ。いやとにかくお美しい奥様でした。劇中、旦那が彼女のことを思いながら「ただただ綺麗な人だ」とつぶやくシーンが印象的だった。
へレン・ケラー
パティ・デューク
「奇跡の人」
目が見えない、耳が聞こえない、口がきけない。この三重苦を背負う少女を、パティ・デュークが演じる。サリバン先生のアン・バンクロフトも激しい演技してて、凄い映画だった。学校で上映すべき名作! ちなみにパティ・デュークはテレビ映画「奇跡の人」で今度はサリバン役を演じた。
フロイト(心理学者)
アラン・アーキン
「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」
架空の人物シャーロック・ホームズが、実在の人物ジグムント・フロイトと協力しあって事件に挑む珍しいホームズ映画。同作では他のホームズ映画では抑えられていた麻薬依存症患者としてのホームズ像が描かれ、アラン・アーキン扮するフロイトはホームズの精神科医という関係である。
アインシュタイン(物理学者)
ウォルター・マッソー
「星に想いを」
これまたフィクションに実在の人物を絡めた映画。相対性理論を発表した20世紀最大の天才アインシュタインが何と登場。演じるウォルター・マッソーはかなりそっくりだ。アインシュタインは背は高くはないのだが、マッソーは巨人。だからマッソーは極力背筋を曲げて自分を小さく見せるしかなかった。
T・E・ロレンス(探検家)
ピーター・オトゥール
「アラビアのロレンス」
スペクタクル映画の最高傑作と言われているのがこの映画。偉大なる指導者・英雄ロレンスの人生を、ピーター・オトゥールがプロデューサーの反対を押し切って熱演。彼の名声は一躍有名になった。ところが、あろうことかアカデミー賞は取れず。オトゥールは最もアカデミー賞に縁のない俳優と言われるようになった。
モディリアーニ(画家)
ジェラール・フィリップ
「モンパルナスの灯」
これは美形ですぞ。エコール・ド・パリの画家モディリアーニを、フランス映画界一のハンサム、ジェラール・フィリップが演じた。作品では、貧困のために亡くなるモディリアーニの人生を実に巧妙にドラマ化している。モディリアーニの絵のモデルを演じるアヌーク・エーメも良かった。
H・G・ウェルズ(小説家)
マルコム・マクダウェル
「タイム・アフター・タイム」
実在の人物を演じるパターンでは、個人的にはこれが一番好き。マクダウェルはまるでホームズのようなスタイルを着こなす。ストーリーは完全にフィクションで、未来にタイムスリップしたSF作家のH・G・ウェルズが、カルチャーショックを受けながらも切り裂きジャックと対決する娯楽作だ。フィクションとノンフィクションがうまく融合していて、ユニークである。
リンドバーグ(パイロット)
ジェームズ・スチュアート
「翼よ!あれが巴里の灯だ」
ジェームズ・スチュアートはグレン・ミラー、モンティ・ストラットンも演じているが、やはり一番良かったのはリンドバーグ役ではないだろうか。世界初大西洋無着陸横断飛行に挑む男の冒険映画だ。ただただスチュアートの独壇場。ファンにはたまらない映画だ。監督はビリー・ワイルダー。
アル・カポネ(ギャング)
ロバート・デ・ニーロ
「アンタッチャブル」
犯罪者でありながら、もはやスターみたいになってしまったアル・カポネ。やはり映画でも登場することが多い。一番記憶に新しいのは「アンタッチャブル」ではないかな。ロバート・デ・ニーロが実に怖い演技をしてくれてます。おー、これぞ悪役って感じですね。にしてもアル・カポネってワルそうな顔してるなあ。
ガンジー(政治家)
ベン・キングスレー
「ガンジー」
僕が一番好きな伝記映画はこれかも。だってこれを見た後はガンジーという人間にすごく興味を持ったからね。それだけ影響力のある伝記映画は他にはなかった。アカデミー賞受賞も当たり前だ。インド系の俳優ベン・キングスレーはもう最高。大ファンになった。
チャップリン(映画監督)
ロバート・ダウニーJr.
「チャーリー」
チャップリンのあのマイムを再現することは不可能だと思われていたが、ダウニーだけは例外だった。ダウニーは自分と同じ職業の「映画」で頂点に立った人物(つまり大先輩)を演じなければならなかっただけに、プレッシャーは相当大きかっただろう。意外にもダウニー・ファンのほとんどが、同じ映画人であるチャップリンを知らない。ということは余りチャップリン像が描けてなかったのかな?
ルー・ゲーリッグ(野球選手)
ゲーリー・クーパー
「打撃王」
かっこいい。アメリカの大リーガー、ルー・ゲーリッグの半生を映画化した「打撃王」は、ロマン溢れる感動のヒューマン・ドラマである。入院中の子供のためにホームランを打つと約束したゲーリッグは、試合で見事ホームランを打つ。アメリカの誠実ゲーリー・クーパーのハマリ役だ。
溥儀(皇帝)
ジョン・ローン
「ラストエンペラー」
東洋を舞台にしていながら、アメリカで大絶賛された歴史大作である。三歳で皇帝に即位した最後のエンペラーの孤独な生涯を、ジョン・ローンが演じる。若い頃から老年まで演じて、ジョン・ローン様の株はこれでだいぶ急騰したことだろう。世界で初めて紫禁城をロケしていることも注目だ。
チャック・イエーガー(パイロット)
サム・シェパード
「ライトスタッフ」
スーパーソニック! これぞ男のロマン! 世界で初めて音速の壁を超えることに成功したパイロット、チャック・イエーガーの栄光をサム・シェパードが再現! 「ライトスタッフ」は宇宙飛行士の映画だけど、NASAに誘われながらも宇宙に興味を示さなかったチャック・イエーガーもまたかっちょえかった。
ジョージ・パットン(軍人)
ジョージ・C・スコット
「パットン大戦車軍団」
アカデミー賞は、伝記映画が一番取りやすいというのは時代が証明している通りだ。「パットン大戦車軍団」もアカデミー賞を受賞した作品。ジョージ・C・スコットが熱血漢パットンを怪演して、アカデミー主演男優賞を手に入れた。スコットのイメージにぴったり。
アンネ・フランク
ミリー・パーキンス
「アンネの日記」
「アンネの日記」。小学生の頃、学校のホームルームでいつも先生が朗読してくれたなあ。小学生の僕には全然わからんかったなあ。でもこの映画を見てやっとわかった。アンネの生涯は大変だったんだね。アンネ役はミリー・パーキンスだけど、思春期の女心を上手く表現してくれてた。
チャーリー・パーカー(ジャズ奏者)
フォレスト・ウィティカー
「バード」
フォレスト・ウィティカーの出世作。マイルス・デイビスと並ぶジャズ界の大物ミュージシャン、チャーリー・パーカーの半生をジャズマニアのクリント・イーストウッドが映画化した。ウィティカーの演技もいいけど、イーストウッドが監督に専念しても良い映画を撮れることにもっと驚いた。
マルコムX(公民権運動家)
デンゼル・ワシントン
「マルコムX」
デンゼル・ワシントンは数少ない黒人スターの一人なので、何かと実在の人物を演じる機会にも恵まれている。マルコムXはその代表作といえるだろう。大作だった。ワシントンの演技も素晴らしいが監督スパイク・リーの演出力がまた上手くて、役者の演技に活気があった。
レニー・ブルース(コメディアン)
ダスティン・ホフマン
「レニー・ブルース」
もう似てるなんてもんじゃない。ダスティン・ホフマン上手すぎる!! レニー・ブルースという強烈な社会諷刺コメディアンを、ホフマンは自分流に演じてみせた。とにかくこの気迫を見てくれ。モノクロームの映像も素晴らしい作品だった。
ジム・モリスン(ミュージシャン)
ヴァル・キルマー
「ドアーズ」
かつて、Jのつくロック・ミュージシャンが相次いで亡くなった時代があった。「Jの悲劇」である。その内の一人であるジム・モリスンはドアーズのボーカリスト。「愛、セックス、死」についてのユニークなロックを歌った。顔の形が似ているヴァル・キルマーの主演で、彼の半生は映画化された。
ニクソン(大統領)
アンソニー・ホプキンス
「ニクソン」
ホプキンスの演技力は凄い。イギリス人でありながら、何とアメリカの大統領を演じてしまったのである。これは一大事件だった。実在の人物といえば、彼は他にもC・S・ルイス、ピカソを演じている。トニー・カーチスのハリー・フーディニも入れたかった。

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