映画音楽のすべて (特別企画)

 

企画9
映画音楽のすべて

 映画と音楽はとてもとても仲がいい。サイレント映画時代から、音楽は映画のBGMには欠かせないものだった。音楽は映像を引き立て、感動を深める。映画と音楽はこれからも永遠に仲良く助け合っていく。音楽なしの映画なんて、考えられない(音楽無しの傑作もあるが、それはごく一部だ)。

 映画音楽を作曲する人は、たいていは映画音楽専門で活躍している人たちである。また、そういう人たちの方が別畑のミュージシャンよりもいい曲を作ってくれる。映像とマッチするようないい曲をね。

 それでは今回は、素敵な素敵な映画音楽について語ろう。
 

偉大なる映画音楽作曲家たち
ニーノ・ロータ
(イタリア) 映画界では最も有名な音楽作曲家。フェデリコ・フェリーニとルキノ・ヴィスコンティの作品の他、「太陽がいっぱい」、「ロミオとジュリエット」、「ゴッドファーザー」などを作曲。映画音楽を芸術たらしめた。哀愁のある音楽に定評がある。
アルフレッド・ニューマン
(アメリカ) 30年代から20世紀フォックスで200作品以上の作品を手掛けた。アカデミー賞では候補になること43回の最高記録。「嵐が丘」、「荒野の決闘」、「紳士協定」、「イヴの総て」、「追想」、「キャメロット」、「大空港」などを作曲。
ジョン・ウィリアムズ
(アメリカ) スティーブン・スピルバーグ、オリバー・ストーンの作品を手掛ける。別監督作品では「屋根の上のバイオリン弾き」、「スター・ウォーズ」、「スーパーマン」、「ホーム・アローン」、「遙かなる大地へ」、「サブリナ」などがある。現在は巨匠たちに引っ張りだこだ。
エンニオ・モリコーネ
(イタリア) 「荒野の用心棒」、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」など、セルジオ・レオーネの作品に名曲が多いが、「アルジェの戦い」、「シシリアン」、「1900年」、「遊星からの物体X」、「ニュー・シネマ・パラダイス」、「アンタッチャブル」など、ジャンルを選ばない。名監督たちに親しまれ、傑作多し。
ヘンリー・マンシーニ
(アメリカ) 幅広い層から支持されているマンシーニは、数多くのスタンダード音楽を作曲した。「ティファニーで朝食を」、「酒とバラの日々」、「ピンクの豹」、「ハタリ!」などが有名で、町中でもよく流れている。
ジョン・バリー
(イギリス) 「007」シリーズのほとんどを担当し、主題歌も沢山作った。映画音楽とロックの融合を試みている。「007」以外では「ナック」、「野性のエルザ」、「ある日どこかで」、「コットンクラブ」、「愛と哀しみの果て」、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」、「チャーリー」などを手掛けている。
佐藤勝
(日本) 日本映画界最大の映画音楽作曲家。黒澤明の「姿三四郎」、「赤ひげ」、「用心棒」などの音楽を作曲し、映像と音声の相互依存効果を発揮させた。他に「キタキツネ物語」、「幸福の黄色いハンカチ」、「戦争と人間」など。
バーナード・ハーマン
(アメリカ) 「市民ケーン」でデビュー。「めまい」、「サイコ」、「鳥」などアルフレッド・ヒッチコックの代表作のほとんどは彼が音楽を作曲している。フランソワ・トリュフォー、ブライアン・デ・パルマのサスペンス映画でも活躍。
モーリス・ジャール
(フランス) 「アラビアのロレンス」で知られるフランス出身の世界的作曲家。「史上最大の作戦」、「コレクター」、「ドクトル・ジバゴ」、「地獄に堕ちた勇者ども」、「ブリキの太鼓」、「刑事ジョン・ブック/目撃者」、「ゴースト/ニューヨークの幻」などを担当。
ジェリー・ゴールドスミス
(アメリカ) 60年代から現代も力が衰えていない大ベテラン。「野のユリ」、「砲艦サンパブロ」、「猿の惑星」、「パットン大戦車軍団」、「パピヨン」、「オーメン」、「スター・トレック」、「グレムリン」、「ポルターガイスト」、「氷の微笑」、「チェーン・リアクション」など。
ディミトリ・ティオムキン
(アメリカ) フランク・キャプラのほとんどの作品で活躍。西部劇も得意とし、「西部の男」、「白昼の決闘」、「真昼の決闘」、「OK牧場の決斗」、「リオ・ブラボー」を作曲。アルフレッド・ヒッチコックの作品もいくつか手掛けている。
ジョルジュ・オーリック
(フランス) フランス現代音楽6人組のひとりとして活躍した大作曲家。ジャン・コクトーに誘われて映画音楽を手掛けるようになる。代表作は「自由を我等に」、「赤い風車」、「ローマの休日」、「恐怖の報酬」、「居酒屋」、「悲しみよこんにちわ」。
ジョセフ・コスマ
(フランス) 30年代から50年代にかけて活躍したフランスを代表する作曲家。マルセル・カルネとジャン・ルノワールの作品に携わった。「やぶにらみの暴君」、「ヘッドライト」の音楽もコスマの手によるものだ。
ミシェル・ルグラン
(フランス) 50年代から活動しているフランスの作曲家。代表的なのは「シェルブールの雨傘」、「ロシュフォールの恋人たち」、「華麗なる賭け」、「愛と哀しみのボレロ」。近年は「プレタポルテ」、「レ・ミゼラブル」の音楽を作曲。
レナード・ローゼンマン
(アメリカ) エリア・カザンに見いだされて、「エデンの東」でデビュー。「理由なき反抗」、「ミクロの決死圏」などを作曲。「ウディ・ガスリー わが心のふるさと」と「バリー・リンドン」でアカデミー編曲賞を受賞した。
 

既製音楽の料理人
スタンリー・キューブリック ルキノ・ヴィスコンティ ウディ・アレン
 キューブリックはクラシックを最も意外な使い方で利用する。「2001年宇宙の旅」のシュトラウス×宇宙、「時計じかけのオレンジ」のベートーベン×レイプの組み合わせは天才的だった。  ヴィスコンティは自分の作品に好んでクラシック音楽を使った。「ベニスに死す」で使われたマーラーの交響曲は、主人公の心境が表れていて、とても素晴らしかった。  ウディ・アレンは、ジャズを使わせたら右に出るものはいない。遊び心いっぱいの「ラジオデイズ」ではジャズのスタンダードをいっぱい聞くことができる。
 

映画と関連の深かった歌手たち
フランク・シナトラ ビング・クロスビー アンディ・ウィリアムズ
 シナトラは凄い。映画俳優としても沢山の映画に主演した。「踊る大紐育」、「波も涙も暖かい」などで歌声を聞くことができる。  「我が道を往く」など、人情劇からコメディまで何でも得意としたクロスビーは歌も上手。、「ホワイトクリスマス」などの名曲がある。  役者として映画に出たりはしないはないが、「シャレード」「男と女」など数々の映画音楽を自分のレパートリーに加えてきた歌手である。
 

おすすめ映画主題歌
ミュージカル・ポップ系 ジャズ・ソウル系 ロック系
「世界残酷物語」
~モア 「カサブランカ」
~時の過ぎゆくまま 「卒業」
~サウンド・オブ・サイレンス
「タワーリング・インフェルノ」
~愛のテーマ 「黒いジャガー」
~シャフト 「地獄の黙示録」
~ジ・エンド
「ポセイドン・アドベンチャー」
~モーニング・アフター 「サタデーナイトフィーバー」
~ステイン・アライヴ 「暴力教室」
~ロック・アラウンド・ザ・クロック
「オズの魔法使」
~虹の彼方に 「スタンド・バイ・ミー」
~スタンド・バイ・ミー 「イージー・ライダー」
~ワイルドで行こう
「ピノキオ」
~星に願いを 「007/ゴールドフィンガー」
~ゴールドフィンガー 「愛と青春の旅だち」
~愛と青春の旅だち
「知りすぎていた男」
~ケ・セラ・セラ 「恐怖のメロディ」
~ミスティ 「明日に向って撃て」
~雨にぬれても
「慕情」
~慕情 「ボディガード」
~オールウェイズ・ラヴ・ユー 「真夜中のカーボーイ」
~うわさの男
「チキ・チキ・バン・バン」
~チキ・チキ・バン・バン 「フェーム」
~フェーム 「ネバーエンディング・ストーリー」
~ネバーエンディング・ストーリー
「ウエスト・サイド物語」
~トゥナイト 「ゴーストバスターズ」
~ゴーストバスターズ 「フィラデルフィア」
~ストリーツ・オブ・フィラデルフィア
「王様と私」
~シャル・ウィ・ダンス 「酒とバラの日々」
~酒とバラの日々 「ライオン・キング」
~サークル・オブ・ライフ
「ジャイアンツ」
~ジャイアンツ 「コーラスライン」
~サプライズ・サプライズ 「ホワイト・ナイツ/白夜」
~セイ・ユー・セイ・ミー
「雨に唄えば」
~雨に唄えば 「レインマン」
~アイコ・アイコ 「トップガン」
~愛は吐息のように
「バグダッド・カフェ」
~コーリング・ユー 「ウーマン・イン・レッド」
~心の愛 「フェノミナン」
~チェンジ・ザ・ワールド
 

クラシック作曲家の伝記映画ベスト4
アマデウス・モーツァルト
「アマデウス」
監督:ミロス・フォアマン アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した大作。
セットから何までこだわった豪華な一本である。ゆっくり見られる映画だ。もとは舞台劇。
フランツ・シューベルト
「未完成交響楽」
監督:ビル・アウガスト シューベルトの交響曲がなぜ未完成に終わったのか、独自の解釈でロマンチックに映画化。「アベ・マリア」が流れるラストは言葉に言い表せない感動のシーンである。
ピョートル・チャイコフスキー
「恋人たちの曲/悲愴」
監督:ケン・ラッセル ケン・ラッセルが監督しているとあり、チャイコフスキーの影の部分にスポットをあてたヘビーな映画となっている。鬼気迫る映像が次々と飛び出すショック映画でもある。
ルートビヒ・ベートーベン
「不滅の恋 ベートーヴェン」
監督:バーナード・ローズ まだ記憶に新しいベートーベンの映画。ベートーベンの半生がよくわかる感動のヒューマンドラマである。「第九」の使い方が素晴らしい。指揮はゲオルグ・ショルティである。
 

おまけ:勝手に決めちゃう映画音楽ベスト10
1 「映画に愛をこめて アメリカの夜」
音楽監督:ジョルジュ・ドルリュー 6 「八十日間世界一周」
音楽監督:ヴィクター・ヤング
2 「風と共に去りぬ」
音楽監督:マックス・スタイナー 7 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
音楽監督:アラン・シルベストリ
3 「第三の男」
音楽監督:アントン・カラス 8 「炎のランナー」
音楽監督:ヴァンゲリス
4 「スター・ウォーズ」
音楽監督:ジョン・ウィリアムズ 9 「大脱走」
音楽監督:エルマー・バーンスタイン
5 「死刑台のエレベーター」
音楽監督:マイルス・デイビス 10 「燃えよドラゴン」
音楽監督:ラロ・シフリン
 



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