戦慄迷宮3D

柳楽優弥、役作りで太った?『戦慄迷宮3D』記者会見

6月13日(土)、富士急ハイランドにて、『戦慄迷宮3D』の製作発表記者会見、ヒット祈願、現地体験取材イベントが行われ、出演の柳楽優弥、蓮佛美沙子、勝地涼、前田愛、水野絵梨奈、監督の清水崇、プロデューサーの小椋悟、谷島正之が登壇した。

『戦慄迷宮3D』は、富士急ハイランドにあるアトラクション「戦慄迷宮4.0」を題材にした日本映画初の長編3D映画。「戦慄迷宮」はギネスブックに”最も長いウォークスルー型のお化け屋敷”として認定されているものだ。

もしかしたら、一発ヒットを狙ったキワモノ的な映画と思われる人もいるかもしれないが、製作者陣がこの会見で見せたこの映画にかける熱意は強く、これはどうやら単なる一過性の見世物映画にはなっていないようだ。あらゆる意味でエポックメーキングな作品になっているという。

2009年は言わば3D元年ともいえる年であり、今年はハリウッドだけでも10本以上の3D映画が押し寄せてくるという。アニメーション映画の3D化は当たり前になりつつあり、実写映像の3D化もかなりポピュラーになってきた。ジェームズ・キャメロンもロバート・ゼメキスも3Dに対してかなり前向きに取り組んでおり、これからどんどん活性化していくのではないかと言われている。

日本がアメリカに技術で負けるわけにはいかない。そこで、この映画のために、イマジカが全面バックアップして、恐らく世界最軽量といえる小型の3Dカメラを開発した。谷島プロデューサーは「立体的な奥行を徹底的に設計して、包み込むような、音楽でいうとサラウンドのような、その場に立っているような映像ができた。これは映像の新時代を切り開くかもしれない」と胸を張っている。そして監督には日本人として唯一、全米1位を2作品連続制覇した清水崇監督を、主演にはカンヌ映画祭主演男優賞を史上最年少で受賞し、TIME誌で”20人のアジアの英雄”に選ばれた柳楽優弥を起用。小椋プロデューサーは国際映画祭へ出品して、世界発進を視野に動いていると語る。国際的に名の知られた監督と出演者、そして日本最先端のデジタル技術で、徹底的に日本初長編3D映画を盛り上げていく意気込みである。

配給のアスミック・エースも完成前から宣伝にかなり気合いを入れているようだ。なにしろ、この記者会見のためにリムジンバスを用意して、記者達を山梨県までジャンケット運行したのだから。この日はいったい何人くらい記者が集まるかと誰しも興味津々であったが、予想を大きく上回る人数が集まり、リムジンバスも2便運行になったほど。谷島プロデューサーは「物好きな人がこんなにいるんですね」と驚いていた。この取材で、記者の拘束時間は何と9時間。しかし、記者たちはこの長旅を大いに楽しんでいた。

強制ではなかったが、この日、記者たちは富士急ハイランドの「戦慄迷宮」を体験取材させられた。これはウォークスルー型のお化け屋敷であり、最後まで己の足で前へ前へと歩いていかなければならない。廃墟の病院がモチーフになっていて、病院独特の消毒液の匂いもそこに充満している。かなり暗い廊下を、懐中電灯片手に2・3人で歩くことになる。長さは世界最長の700メートル。全部歩くのに50分もかかってしまうまさに世界最恐のお化け屋敷だ。体験取材では5分の1スケールに短縮されたコースを歩くことになったが、それでも本当に病院を歩いているような錯覚を受け、やたらリアルで怖い。真っ暗ということもあって、女性記者たちは思わず赤の他人の記者と手をつないで歩いていたほど。びっくりして座り込んで立てなくなる記者や途中リタイヤする記者も続出。そういう光景を見るのもまた一興であった。

『戦慄迷宮3D』はまさにこのアトラクションの中で撮影されている。つまり、アトラクションそのものが大きなセットになっているわけだ。昼間はアトラクションとして運営しているため、撮影は必然的に夜となる。現在も撮影は順調に進んでいて、この日は実際に清水監督の撮影風景を見学することができた。清水監督は別の部屋から3Dメガネをかけてリアルタイムにモニターでチェックして指示を出していた。記者にも3Dメガネが渡され、モニターの3D映像を間近で確認することができたが、その映像は狭い廊下の奥行き感が強調されて、まさに日本初の長編3D映画にふさわしいものになっていたといえよう。清水監督は「わざわざ東京から撮影を邪魔しに来てくれてありがとうございます」と冗談まじりに記者陣を「我が家」に歓迎していた。

記者会見では、ホラーらしからぬキャストがホラーに出ていることに話題が集まった。蓮佛も前田も水野も「どうして私がホラー?」と最初に思ったという。谷島プロデューサーの狙いはそこだった。普段ホラー映画に出たことがない、どちらかというと怖いものが嫌いだという人に出てもらうことで、『ローズマリーの赤ちゃん』のミア・ファローのような効果を出したかったという。

アトラクションの中での撮影なので、そこら辺に生首が置いてあったり、セットは普段から怖い。蓮佛は「基本的に待ち時間はずっとここ(病院の入り口ロビー)から動かないようにしています」、前田は「私はお化け屋敷が大嫌いなのに、ここは関係者しか入れないようなところまで怖くできてるんです」、水野は「一度迷ったら帰れなくなります」と、この現場を不気味がっていたが、その一方で、清水監督と一緒に仕事ができて楽しい日々を送っていると笑顔で語っていた。

霊感についての質問があると、前田は「まったくありません」ときっぱり。そういう話には興味すらなさそうだった。ところが蓮佛は「ここに来たときテレビの砂嵐のような耳鳴りがなりました」と語り、勝地は「それ初めて聞いたよ」とびびっていた(ちなみに筆者もここに来たとき砂嵐のような音を聞いたので、もしかしたらこれはアトラクション特有のサウンド演出なのかも?)。

この日、記者を一番驚かせたのはふっくらとした柳楽の姿だったかもしれない。印象が変わっていたので、待機場所では皆その話で持ちきりになっていたほどである。会見では、予想通り、スタイルについてのいじわるな質問が飛んだ。柳楽は「ふっくらしたのは食べ過ぎっすね。でもこれでも痩せた方っすよ」と答えたが、記者から機関銃のように何キロ?どうして?と次々質問が浴びせられ、「すんごい具体的に話さなきゃいけないっすね」とはぐらかしていた。

「一番恐怖を感じるのはどういうときか」という質問があると、勝地は「僕の役は最初はリーダーシップでみんなを引っ張ってるのに、だんだん崩れていくのですが、人が崩れていくことは、オバケよりも怖いことだなと思いました」と真面目に答えていたが、マイペースな柳楽は「セリフが長いときっすね」とふざけ、記者を笑わせていた。

フォトギャラリー
「戦慄迷宮」の前にて
ヒット祈願中の柳楽優弥
柳楽優弥の画像
蓮佛美沙子の画像
勝地涼の画像
前田愛の画像
水野絵梨奈の画像
清水崇監督の画像
谷島正之プロデューサーの画像
小椋悟プロデューサーの画像
会見のようす

『戦慄迷宮3D』は10月全国公開。